表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好き・苦手  作者: な吉
17:消えない記憶
55/67

2









武藤君から目を逸らしゆっくりと天井を眺める。


いったいどれほど寝ていたのか。




この前の時は3日って言ってた気がする。


一週間ほどなのだろうかとぼんやり考えていたら、武藤君が起きたようで声を掛けられた。





「…涼華…」



「…あ…」

武藤君と声を出そうとしたら思いのほか声が擦れて自分でも驚いた。



「気分はどうだ、何か飲むか?」


そっと額に手を当てられ声を掛けられる。

武藤君の手がひんやりとして気持ちいい。



「平気。水、飲む」


未だ声が掠れるので返事がとても短くなってしまったが武藤君は気にした様子もなくガタリと椅子から立ち上がり何か買ってくると言って病室を出て行った。




額から離れた手がほんの少し残念に思いながら、武藤君が出て行った方をぼんやりと眺める。




「…メガネ…」


どこにいったんだろう。

私は2年になってよくメガネを無くすなぁと思いつつ、予備のメガネを作っておくんだったと今更ながらに後悔した。


武藤君が出て行った扉をぼんやりと見ていた。


微かに聞こえてくる人の声。

足音。


痛む右腕と横腹。




静かな静かな病室の中でじんわりと目の奥が熱くなる。





もし今ここに居なかったら…





考えれば考えるだけ怖くなった。




あの日あの時あの場所で、もしかすると私は消えていたのかもしれない。





痛む体が、軋む体が、生きているんだよと教えてくれる。







皆にどんな思いをさせてしまったんだろうか…






あの日の私と同じ思いをさせてしまったかも知れないと思ったら申し訳なかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ