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武藤君から目を逸らしゆっくりと天井を眺める。
いったいどれほど寝ていたのか。
この前の時は3日って言ってた気がする。
一週間ほどなのだろうかとぼんやり考えていたら、武藤君が起きたようで声を掛けられた。
「…涼華…」
「…あ…」
武藤君と声を出そうとしたら思いのほか声が擦れて自分でも驚いた。
「気分はどうだ、何か飲むか?」
そっと額に手を当てられ声を掛けられる。
武藤君の手がひんやりとして気持ちいい。
「平気。水、飲む」
未だ声が掠れるので返事がとても短くなってしまったが武藤君は気にした様子もなくガタリと椅子から立ち上がり何か買ってくると言って病室を出て行った。
額から離れた手がほんの少し残念に思いながら、武藤君が出て行った方をぼんやりと眺める。
「…メガネ…」
どこにいったんだろう。
私は2年になってよくメガネを無くすなぁと思いつつ、予備のメガネを作っておくんだったと今更ながらに後悔した。
武藤君が出て行った扉をぼんやりと見ていた。
微かに聞こえてくる人の声。
足音。
痛む右腕と横腹。
静かな静かな病室の中でじんわりと目の奥が熱くなる。
もし今ここに居なかったら…
考えれば考えるだけ怖くなった。
あの日あの時あの場所で、もしかすると私は消えていたのかもしれない。
痛む体が、軋む体が、生きているんだよと教えてくれる。
皆にどんな思いをさせてしまったんだろうか…
あの日の私と同じ思いをさせてしまったかも知れないと思ったら申し訳なかった。




