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HRが終わった後薺と帰ろうとしたときに又薺が呼ばれた。
「涼華、ごっめん先生に呼び出された!先に帰ってて」
薺はそれを言い残し急いで教室を出て行った。
今日はよく先生に呼ばれるんだなぁと思い、
私は鞄を持ち帰ろうとした。
お昼に終わったため、クラスの人間はこれからどこに行こうかなど話して居るのが耳に入った。
『帰ってゲームでもしようかな』
どうせ暇だしなーとか考えていたら
「あれ?涼華一人で帰るのか?」
さっきまで居なかったはずの武藤君が教室に戻ってきていた。
「…そう…だけど」
武藤君が話しかけてくると同時にクラスメイトの視線を感じてしまう。
…そうだ、忘れてた。
武藤君も、人気が有るんだよ。
さっきから小声で周りの声が聞こえる。
何でアイツが。
薺達とつるんでるからっていい気になるな。
釣合わないし。
一回絞めておいたがいいんじゃない。
等など。
知らないよ!勝手に武藤君達が話しかけてくるんじゃないか。
イライライライラ。
顔を背けて急いで鞄を持って、
「じゃあね」
ばたばた逃げるように武藤君の横をすり抜け教室を出た。
学校から出た後もなんとなく急いで家に帰ってしまった。
普段だったら本屋にでも寄るのに…。
誰もいない家。
鞄を投げ捨てテレビをつけて。
制服も脱ぎ捨て部屋着に着替え。
そのままベットに倒れこむように身を埋めた。
なんか疲れた。
明日からも、こんな感じなんだろうか。
そう思ったら胃の辺りがムカムカした。
そのまま、眼鏡も外さずに私は夢の中に落ちていった。