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なんで、何が一体どうなってこんなことになったって言うの!?
よくわからない状況。
外での騒音。
叫び声とかバイクの音とか。
時たま何かが壊れる音とか。
日常では聞くようなことがない音が目には見えないところで聞こえてくる。
私はいまだ動けないまま。
私何やってんだよ!
広いこの部屋には今は私しか居ない。
三潴と呼ばれていたあの男も女たちも居ない。
こんなの警察沙汰じゃないか。
「…く…畜生!!何で…!!」
何で来たのさ、自分たちが怪我するってわかっていただろう!!
むかつく!
何も出来ない自分に。
簡単に此処にきた皆に。
ぎりぎりと手首の縄が千切れないかともがいてみるもとてもじゃないけど切れそうにない。
どうしよう。
どうすればいい。
突如けたたましい音と共に目の前の扉が何かに破壊された。
人だ。
誰かが投げ入れたんだ。
バラバラとガラスの破片が飛び散ってくる。
懸命に足を伸ばしてその破片が取れないか試みた。
あ、届く。
そう思い少し大きめの破片を足で引き寄せる。
徐々に大きくなる騒がしい声。
目の前で倒れてる人物は気絶しているようでピクリともしない。
「ん…」
何とか破片を引き寄せ足で手まで持っていく。
こんな時に、足癖が悪くてよかったかぁとかどうでもいいことが頭を過ぎった。
手に持ったガラスが鋭すぎて手のひらから血が出るけど気にしない。
「…も、少し…」
もう少しで縄が切れる。
縄を切るのに集中しすぎて気づかなかった。
「…あんた!!なにやってんのよ!」
ぶちりと千切れる縄の音と同時に右の首筋を蹴られた。
まったく、本当になんてしつこい人間なんだ。
さっきまで居なかったじゃん。
タイミングいいんだね。




