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私を刺してどうすんの?
「このままあんたを人質にとってさぁ、武藤君を手に入れようかって話をしてたのよ」
人質?誰が?私が?
「何を、バカなことを…」
バカな事じゃないか。
このまま刺したり殺したりしてみれば警察沙汰じゃないか。
武藤君に寄るどころか離れなければいけないだけじゃないか。
「大体、私を人質て言うのが間違ってると思うよ」
薺達はきてくれると思う。
その反面着てほしくないとも思ってる。
私は迷惑掛けすぎだ。
私は本当にバカだ。
「そんなことないよ、知らないのかい?武藤はキミに惚れてるだろう?」
くすくす笑う目の前の男が何を言っているかが判らなかった。
「…なに…バカのこと言ってんの?」
ありえないから、そんな事。
あの武藤君だよ!?
だいたい私と武藤君がつりあう訳ないじゃない!
そーだよ!そーだよ!!
いや、意外と優しくて、頭がよくて、瞳が少し赤くて髪の毛サラサラしてて少し強引なところもあるけどとてもいい人なんだ。
って私!!意外と見てる!!??
武藤君の事意外と見てるの!?まさかぁ!?
考えただけで恥ずかしくなる。
「よそ事考えていられるのも今のうちだよ」
クスクス笑っている目の前の男の言葉によってハッとする。
「此処にはね俺ら以外にも居るんだよ沢山」
不良どもの溜まり場なんだ。
こんなところに武藤達が来たらどうなると思う?
あいつら全員返り討ちにあうに決まっているだろ?
笑いながら言うこの男が信じられない。
「…あんたら、本当に最低だな」
力で物を言わすのか。
そういったら更に嬉しそうに笑う目の前の男。
ガチャリと音を立てて開く扉の音。
「三潴来たぞ、武藤達だ」
その言葉に私は青くなった。
目の前のこいつらは笑い出していた。




