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「いつまで、自分の中に押し込むつもり?」
葛葉の綺麗な眼がまっすぐ見てる。
怖いと思う。
綺麗だと思う。
「いつまで待てば私たちにその思いを見せてくれる?」
…なにを…?
「私たちは知ってるよ。何かを抱え込んでることを。
私たちは知ってるよ。涼華がどんな人物かって事。
いつまで…上辺だけの友達でいればいい?
私たちは涼華に助けられた。私たちが一人のときに何も言わず傍にいてくれた。
何も言わず助けてくれた。
だから今度は私たちがあんたを助けたい。そう思うのは悪いこと?」
とても優しい声。
「そんな…私はそんな…」
そんな綺麗な思いで一緒にいたわけじゃない。
そんな綺麗な目で行動をしたわけじゃない。
全部、自分のため。
「違う。私は、私は…」
そうだ、私は自分が一人になるのが怖かった。
でも、一人になりたかった。
私が一人になりたくない時に一緒にいてくれる人物を探しただけ。
皆の事なんて何も考えてない。
私は、我侭で。自己中心的で。
私は、頭も悪くて、性格も悪くて。
私は…とても醜くて…
「私は醜くて、とても汚い」
私は自分のすべてが嫌いだ。
大嫌いだ。
騒いでいた3人も口を閉ざした。
ほら、呆れたでしょう。
帰ってくれ。
これ以上みんなの傍にいたらもっと後ろ向きで、
もっと自分が惨めになる。
「…ごめ…ん。だから」
「何言ってんの」
私の言葉は途中で遮られた。
薺が呆れた顔してみてる。
逃げ出したい。
「なに言ってんの。人なんてそんなもんだろう。
自分勝手なやつらばっかで、周りの迷惑考えないやつらばっかで、
馬鹿なやつらばっかで、汚いやつらばっかじゃん」
がりがりと頭を掻いてる薺。
「それに気づかない奴等が多いだろう。
ある意味それに気づいて悩んでるお前は何も考えてないやつらよりいいんじゃねーの」
「そうそう、綺麗な人間なんてほんの一部しかいないよ」
赤里君に葛葉。
何で。
慰めないでよ。惨めになるじゃん。
「で、結局、涼華、お前はどうしたいの?
そのまま潰れたいの?苦しみたいの?
また一人でいることを望む訳?」
どうしたい?私はどうしたい?
本当は望んでいるはずなんだ。
みんなと一緒に笑いたい。
周りの声なんか気にせずに一緒にいたい。
でも、私は意気地なしだから。
言葉が出てこない。
勇気なんてないんだから。
ぐっとさらに歯を食いしばって、
手は白くなるぐらい握り締めて。
下を向いて俯いて。
「あー!!もう!!」
びくりと体が反応する。
「ぶっちゃけさ!お前が考えてることはわかんねーよ!!
でも!俺らが一緒に居てやるって言ってんだからそれでいいじゃねーか!
つーか、俺らのほうが一緒にいないと駄目なんだよ!」
声を大にして突然武藤君が大きい声を上げた。
「はは、確かに、涼華がって言ってるけど実際ウチ等だよなぁ。涼華が居ないと駄目なのって」
「そーだよな、お前らすぐ喧嘩するし揉めるし」
「あら、喧嘩事が多いのは薺と陽じゃない」
「ちょ…葛葉!?喧嘩はこいつが売ってくるんだよ!
私は悪くはないよ!!」
「なに言ってんだ。お前が単純馬鹿だからだろう。
悪いのはお前の頭だ。馬ー鹿」
「なぁ!!??お前そこになおれー!!!
半殺しにしてやる!!てか殺してやる!!!!」
呆然とする私をよそに好き勝手に暴れだした薺と赤里君。
それを傍観してる葛葉。
いつも見ている風景だ。
ああ、ただここが私の家だというのが悲しいだけで。
「とにかくさ、お前がなんと言おうと俺らはお前に構うわけ。嫌だつって逃げてもきっと追いかけていくだけだ。
諦めろ。どんなことを思っても結局こいつらとは一緒に居るはめになるんだよ」
うん。
そうなのかもしれないと思った。
私は意志が弱いからきっとこのまま流されてみんなと一緒に居るんだろうなぁ
「うん。諦めてみるよ。今は…問題をどうにかしないと」
「そう、それだよ。あの馬鹿共黙らせて奴等つぶしてやるぞ。
俺らに喧嘩売ったやつらが悪いんだからな」
にやりと意地が悪そうに笑う武藤君を見てなぜだか少し落ち着いた気がした。




