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私は私で出来る事をしよう。
そう思ったのは皆が助けてくれたから。
薺と武藤君の怒鳴り声。
心臓が痛い。
頭が痛い。
何が原因で二人は言い争ってる?
目眩がする。
吐き気がする。
どっちが悪いとかないのに。
武藤君も薺も助けてくれた。
いつも助けてくれてる。
この二人が言い争っているのがとてもつらい。
「やめなよ、二人共。外まで丸聞こえ」
どうやら玄関の鍵が開いていたらしく二人の仲裁に入ったのは葛葉だった。
葛葉の方を見たら赤里君も一緒にきてた。
結局皆揃ってしまった。
「涼華が体調不良で早退して、将が送って行ったって聞いたけど何でお前等喧嘩してるわけ?」
赤里君のあきれた声。
てか、みんなまだ学校のある時間じゃないのか。
「あ!?うっせーな」
苛々してる。
ああ、やっぱり、私のせいで…
武藤君と薺と赤里君の騒ぎ声。
どっしりと胃の辺りが重くなる。
苦しい、苦しい。
歯を食いしばり手を握り締める。
やっぱり、私は居ないほうがよかったんじゃないか。
グルグルグルグル
考えは悪いほうばかりに向かっていく。
「涼華、涼華」
ひんやりと冷たい手。
右の頬を軽くたたかれた。
顔を上げると葛葉がにっこり笑っていた。




