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そうだね。
一言簡単に言葉を交わして窓の外に視線を向けた。
武藤君が未だにこっちを見ているのが分かる。
視線が痛い。
武藤君と会った事は有るけれど、全部薺を挟んでからだ。
正直一対一で話すのは避けたいと思う。
武藤君の相手の目を見て話すのが嫌い。
正直怖いと思う。
威圧感も感じるし。
何より、武藤君とは共通点が無いのも有る。
何を話して良いかも分からない。
ブーブーと突然携帯が振動した。
誰からのメールだろうと思い携帯の画面を開いた。
あ、葛葉からだ。
『ごめん!私の席取っておいて!!!(> <)』
そーだ。葛葉今日来てないから席取っておかないと…
きょろきょろと教室を見ればもう殆ど埋まっていた。
幸い、赤里君と薺の後ろの席が空いていた。
騒がしいから誰も近寄らないんだろうななどと思いながら自分の鞄を赤里君の席の後ろに置いた。
葛葉にメールを返して携帯をポケットに直そうと思った時隣から手が伸びてきた。
「あ」
隣の武藤君に携帯を取られてしまった。
「へー新機種じゃん」
へーとか、ふーんとか言いながら勝手に携帯をいじくられてる…。
携帯の相手は薺か葛葉以外に居ないから…
まぁ…別に見られても困る物はないし…。
「ほい、返す」
武藤君が携帯を返してくれたと同時に教室の扉が開いた。
「おーしお前等席に着けー」
眼鏡の先生だ。確か名前は…
「いっちゃん又俺等担当ー?よろしくー」
「こら武藤!五十鈴先生と呼べ!」
五十鈴先生は去年も武藤君の担任だったんだ。
そんなに怖い先生ではなさそうだ。
それから先生の話の後にクラスで簡単な自己紹介とかあって、細かい委員会決めとかは明日になった。