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「お前さ…無防備すぎ」
へ?何の事?
「普通、付き合っても居ない男を家に入れないだろう」
いやいや、武藤君が勝手に家に乗り込んできただけ出し。
「よく、絡まれるし」
それは、私のせいじゃないよ!
「わっ私は何もしてないからそんなこと言われてもっ!!」
「心配すぎて目が離せねぇよ」
うう、何も言い返せない。
現に今まで絡まれてきたのとか全部助けてくれたの武藤君だし…
本当に面目ない…
「んで、何があったわけ?」
「え?」
「さっき、と言うよりこの前の千鶴の件から全部話せ」
お前何か言ってないことあるだろう。
そう言われた。
怖いとか、不安だとか、言ってどうなるのかとか。
色々思う所がある。
「べ…別に…」
なんて言えば良いのか、言ってしまって迷惑が掛からないのか。
そんなことばかり考えてしまう。
バン!!!!
と、突然の物音。
びくりと反応する。
「お前、それ本気で言ってんの?」
ああ、今のは武藤君が机を叩いたんだ。
昔からそうだ、怒られたりすると口を閉じて足元を見てしまう癖。
相手の顔を見ることが出来なくて。
余計に相手をイライラさせる態度を取ってしまう。
「涼華!別に何も無い分けないだろうが!
お前はいつもそうやって肝心な事は何も言わないよな!
そんなに俺等が信用出来ないのか!?」
違う、信用してないわけじゃない。
皆こんな自分に優しくしてくれるから。
話しかけてくれるから。
笑いかけてくれるから。
言えない。
迷惑掛けられない。
自分で何とかしなければ。
…じゃないと嫌われる。
「た…大した事じゃ…ないから…」
声が震えて、血の気が引いて。
体温が下がっていくのが分かる。
ああ、嫌だ嫌だ。
こんな自分。
居なくなりたい。
消えてしまいたい。
嫌な事があると、いつも頭の中で回る言葉。




