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「と…友達」
大沢さんは驚いた顔をしていた。
「あれ?違かった?私はそのつもりだったけど」
「ううん!違うのっ。ただ嬉しくて」
友達だとか、今日からなろう!っていってなるもじゃないと思う。
一緒に話して一緒に笑って。
同じ空間を楽しく共有できたらもう友達なんだと思う。
それから良く遊んだりなんだりで親友とかになって行くんだと思うんだ。
薺と葛葉と今日から友達だからと言った覚えはない。
友達の為にと言って誰かを傷つけるような事は許さない。
昔父さんが言ってた。
自分から人は傷つけるな。
友達の為に喧嘩しろ。
大切な物は自分で守れ。
あの人たちは何の為に傷つけているんだろう。
大沢さんを守ろうとしてたんだろうか。
自分のためだろうか。
まぁ考えても仕方ないか。
「ところでさ、何で私はここに居るの?」
そう、疑問に思ってた。
何故に私は武藤君の家にいるのか…
「えっとね、あのメンバー達が私に涼華さんをしめてきたって言ったから場所問いただして、あの場所に向かう途中で将と薺にあったの」
ああ、それで。
「鍵が壊されててどうにも開かなかったから将と薺が扉壊して…
その弾みで涼華さんの額にドアがぶち当たったの…
痛くない?」
えー…ちょっと意識失ってる間にそんなことが…。
てか、この額のガーゼは武藤君と薺のせいって事だよね…
「そうそう、私様子見に来たんだった。
皆に知らせてくるわ」
そういって慌てて部屋を出て行った。
はぁ。
なんて顔して会えば良いのさ。
てか、何で武藤君の家?
隣薺の家じゃなーい?
グルグル考えてるうちにドアの扉が開いたら見慣れたメンツだった。
「涼華ー!!本当になんともないの!?私の事分かる!?葛葉よ!!」
「いってー!!」
突然がばっと抱きつかれ全身に痛みが走った。
「く…葛葉…わかるから離して」
うるうると涙目の葛葉。
心配かけてしまったなーと思う。
「涼華、酷かったんだよあんた。熱はすっごい上がってたし」
大丈夫ならよかった。薺がにっこり笑う。
「酷かったのは薺じゃないか。暴れまわって…」
ウルサイ!余計な事を!!と赤里君と口論を始めてしまった。
「ま、色々聞きたいことはあるけど、とりあえず、無事で何よりだ」
武藤君が綺麗な顔で綺麗に笑った。
なんだか急激に申し訳なくなった。
いろんな事に対して。
「ご…ゴメン。なんか迷惑かけて…」
本当は騒がしいのは嫌い。
うるさいのは嫌い。
でも皆の騒がしいのは嫌じゃなくなってた。
いつの間にかソレが当たり前になってきてた。
こんなに心配かけて、迷惑かけてダメダメな奴なのに嫌事一つ言わないで。
皆と一緒に居たくないとか思ってた自分が恥ずかしい。
情けない。
「謝るなんてないぜ。涼華が無事ならソレでいい」
なんだかんだで皆優しいけれど過保護なところが有ると思う。
「んじゃ、皆で騒ごうよ!」
「そだね、ピザでも頼む?」
「あ、私買い物いって来るわ」
「じゃ、コーラとサイダーと…」
えー今からここで騒ぐつもりかい。
「おい!お前等騒ぐなら下で騒げ!」
わいのわいの言ってる皆の声が心地よくて。
「涼華、お前どうする?」
武藤君が皆を下に追いやってる合間に聞かれた。
「んー…とり合えず…眠い」
「そっか、じゃ、とりあえず寝とけ」
「うん。そうする」
大きな欠伸をしてもう一度布団に潜り込んだ。
あ、そう言えばこの部屋って武藤君の部屋だって言ってたような…
考えれば考えるほど眠くなってきたのでとりあえず今は寝よう。
後のことは起きて考えよう。
そう思ったらものの3秒ぐらいで眠りに付いた。




