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「こ…今回もあのメンバーがしめてきたからって言ったから…
私血の気が引いて。
辞めるように言っても、聞いてくれなくて。
それにメンバーの一人が、武藤君のファンクラブみたいな人たちは『私』だったら許せるけど他の女の人じゃ許せないって…」
「それって…ファンクラブの人たちは武藤君の彼女は大沢さんだったら良いけどそれ以外の人だったらイジメルって事?」
なんだかソレを聞いて無性に苛立って。悲しくなって。大沢さんと武藤君が可哀想だと思えてしまった。
「きっとそう…現に今まで将と付き合っていた女の子達酷いイジメにあったとか聞くもの…」
うーん、私は付き合ってないんだが…
「だから…ごめんなさいっ!涼華さんがこんな目にあったの私のせいなの!!」
きらきらと大沢さんの頬を伝って落ちる涙が綺麗だと思った。
「大沢さん、謝らないで」
なんとなく、武藤君の言った意味がやっと分かった。
何かあったらすぐ呼べとか…
こういうことになるからだ。
もう少し考えて行動すればよかった。
あの時付いていかなければ良かった。
そしたらあの人たちもこんなことしなかったろうし。
大沢さんもこんな思いしなくて良かった。
「大沢さん!ゴメン!!」
なんだか胸の辺りがもやもやして。
もっと自分が考えて行動していれば、そういう気持ちがあった。
気づいたら私は声を大きくして謝ってた。
「えっ…な…何…」
なんでって…うーん。
「思ったんだ、私がもう少し考えていればよかっただけのことだしね。
だからさ、泣かないでよ。目の前で泣かれるのは苦手なんだ…」
「でもっ!痛かったでしょう!?辛かったでしょう!?アザだらけになって…!!」
「いや!もう終わった事だから、私も無事だし、幸い何も無かったからいいんじゃない?」
うん。きっと大沢さんは優しい人。
罪悪感とかもあるんだろうけど、人の痛みを分かって泣いてくれた。
「痛いのは…まぁ置いといて、確かにあの時は相当ムカついたりしたけどさ、
良く考えたらこんな事になる前に何とかできたんだよ。
考えなしにノコノコ付いていった私が悪いんだよ」
「で…でも…!!」
むーまだ引き下がらないか。
さすが武藤君と薺の幼馴染…
「もー!終わり!この話は終わり!私はなんとも思ってないよ」
生きてるんだし。
こうやって謝ってくれる人が居る。
泣いてくれる人が居る。
それだけで十分だ。
「あ…あのね、涼華さん」
んーまだ食いついてくるのかな。
「将の友達、辞めてしまうの?」
へ?
「だって、あんなことあったじゃない?
皆、将から離れていってしまって…」
「んー、考えて無かった。そんな事。
そう言えばなんか言ってね、彼女等」
考え込んでたら不安そうに見てくる大沢さん。
「気にしなくて良いよ。言われたぐらいではいそーですかって聞くような人間じゃないから。
人に少し言われたぐらいで聞くようだったら私はもっとまともな生き方してるよ。
武藤君も薺も葛葉も赤里君も大沢さんも友達だからね」
うん、そうだ。
聞いてたら私はここには居ない。
おばさんたちに引き取られて、肩身の狭い生き方してる。




