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「わかった?近づかなければこんな事にはなんないのよ。
言いなさい、『私、醜くてブスの月路涼華は金輪際、武藤君と赤里くん達に近づきません。
今まで調子に乗ってスミマセンでした』ってね」
にこりと笑いながら私のお腹を踏みつけてくる。
絶対に言わない。
死んでも言うもんか。
何で武藤君と赤里君の友人関係にあんた等が口を挟むわけ?
10年後も20年後もずっとそんな事言ってるわけ?
意地だ。
これは只の意地だ。
何が何でも絶対言わない。
「言えって言ってるだろう!!」
私のお腹の上に乗ってる足に力が入る。
「うっ」
お腹が圧迫されて吐きそうだ。
畜生、このまま吐いてやろうか。
「もう一度言うわよ、言いなさい!そしたらアンタにも何もしないで居てあげる」
名にその上から目線。
アンタはそんなに偉いんか!
「やだね…」
「は…?」
良く聞き取れなかったようで怪訝な顔をする女達。
「絶対やだね」
べーと舌を出して、ものすごく嫌味な言い方をしてやった。
「なに!!!コイツ!!!!」
「チョームカつくんだけど~!!!」
「最悪ー!!!!!!」
口々にわーわーきゃーきゃー喚く女達。
ムカついてるのはこっちだよ!
「わかった、どうなっても良いんだね?」
そう言って一人が私のブレザーに手をかけた。
「ちょ…と!!」
何すんの!!というより早くブレザーのボタンはちぎれ飛んだ。
「えー、こんな奴じゃ男も喜ばないて」
「いや、居るじゃん、ブス専って」
ジョーダンじゃない!!!
いくらなんでもそっち方面に知識は乏しいにしても今がかなりやばい状況だと言うのが分かる。
痛い体に鞭打って立とうとしたら両手両足掴まれた。
「はなせ!!!ふざけんな!!!!」
体中を押さえ込まれて身動きが取れない。
「あはは、いいんじゃなーい?早く写メ撮ってよ」
カシャッ カシャッ
「あはは。いい気味ーもしかすると結構高く売れるかもよー?」
ありえない!ありえない!!本気で撮ってる!!
「はなせ!!」
「うるさいわねー本当に!!」
直に水を掛けられる。
心臓が止まるかと思った。
「ゴホッゲホッ」
「きゃ、ちょっと考えてやってよねー」
「私等も濡れるじゃんかー」
ぱっと両手両足の力が緩んだ。
今ここで、逃げないと。
バッと勢い良く立って走ろうとした。
「あ!逃がすかよ!!」
ドンッと押され一瞬なんだか分からなくなった。




