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遅刻して教室に入るのは嫌なんだよなぁ…
あと少し、予鈴まで時間がある。
屋上の階段から降りて先生達の目に付かないように教室まで向かう。
「すみませーん」
?
「すみませーん。月路さーん」
???
私!!??
本当、今日は一体何なんだ…
声を掛けられて振り向けば髪を後ろでゆるく結んだ女生徒だった。
「はい?」
「いまー時間ありますかー?」
時間はある。てか、この人もサボり?そして誰!?
「はぁ…まぁ、あるって言えばありますけど…」
そういうとにこりと笑って、
「よかった~スミマセン一緒に来てもらえませんか~」
有無を言わさずに私の腕を引っ張っていく。
時間もあと少しだし、何て無いだろうと思っていた。
でもよくよく考えれば分かる事だった。
結局こういう目に合うのは。
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「あ、きたきた」
「おせーんだよー、連れてくんの」
口々に言う女達。
連れてこられるときよく観察してみた。
場所は旧校舎の女子トイレ。
タムロするのにうってつけの場所じゃないか。
汚い。
タバコの吸殻とか、お菓子のクズとか。
7、8人ぐらいだろうか。
あまり人の顔を覚えないので同じ学年かすら分からない。
とてつもなく、嫌な予感がする。
「…何も無いようなので帰ります」
来た道を引き返そうとすると肩を掴まれた。
「あんたさー生意気なんだよね」
きつい香水ときついタバコの匂いでクラリとくる。
「そうそう、薺や葛葉が味方だからって調子こいてさ」
生意気とか、調子乗ってるとか言われるような事をしたことが無いし!
「言ってる意味が分かりませんが」
「そういうのがムカつくって言ってんの!」
口を開けば次々と、よくまぁそこまで嫌事が言えるよなぁと寧ろ感心してしまう。
「聞くけど、最近さぁ赤里君と武藤君に仲良くしてもらってるみたいじゃん?」




