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好き・苦手  作者: な吉
屋上
26/67

3




サボろうと言われて連れてこられたのは

サボるのに最適な屋上だった。


うわー、はじめて来たよー。


「で、何で?」


逃げないようにとここまで引きずられて来た私をぱっと解放する。



少し…機嫌が悪そうな。




「何で…って。あー、朝、大沢さんが話しかけてきて、

それからあの人達に声掛けられて…」


さっきの事を思い出して言葉をはっしたら武藤君は目を見開いて、


「涼華…千鶴と知り合いだったのか?」


言った後に心底嫌そうに話していた。



「いいや。昨日も大沢さんが会いにきたんだよ。確か。

葛葉が知ってるはずだけど…」


「何で、千鶴が…」


「そうそう、大沢さん、武藤君と薺が私と知り合いなのは不公平だとか言ってたよ。

友達になりましょうって言ってねぇ、そう言えば」



「不公平…ねぇ…」


えらく嫌な声で言う。


「いいか!何かあったらすぐ言え!アイツは疫病神なんだよ!!」





「や…疫病神…?」



信じられなくてつい聞きなおしてしまった。


「ああ!アイツは昔っからイイトコがねぇ!!」


昔っから?

てかイイトコが無いって…


「あ、中学一緒とか?」

いや、昔って言うぐらいだから小学校からかな?



「いや…生まれた時からだ…」


「生まれた時から…?」



一つため息を付く。

「ああ、俺と薺と千鶴は家が隣同士なんだよ」


あ!

へー幼馴染か~。へーいいなー。


「嫌なもんだぜ。ずっと一緒で高校まで一緒なんて!」


嫌なのか。あんなに綺麗で人が良さそうなのに。




「嫌なの?でも葛葉から聞いたけど…

大沢さんって武藤君が好きだとか…」


そういったら心底嫌そうな顔をして、


「馬鹿言うな!!あんなのデタラメだ!!大体千鶴は昔っから陽が好きなんだよ!!」



と言われてしまった。

へー赤里君なんだー。へー。


「そうなんだ。へー」

別に、詮索する気じゃなかったけど気づいたら言ってたし。

噂なんてわかんないもんだね。

後で葛葉に事実を言っておこう。


「ところで、何で売店に居たんだ?」


そうだ、上履き買ったんだ。


「え、上履き…」


「は?」


あ、やば。





「いや、上履きボロボロになっちゃてさっ!

もう履けなくなったから買い換えたのさ!」

つい事実を言いそうになった。

上履き無くなったとか言ったら武藤君怒りそうだし…



「ボロボロねぇ…」

ふーんと少し考えるように武藤君は外を見てた。





このまま…どうするんだろう。

私、こんなに授業出なかったの初めてだよ。


携帯を見たらもうすぐ一現終了の予鈴が鳴る頃だった。




「…武藤君、一現もうすぐ終わるけど…教室行かないの?」


そういうと武藤君はんーと少し眠そうだった。


「もう少しここでサボっとく」


そっか、サボるのか。

私は遅刻した言い訳を考えなきゃなーと思いながらドアの方に向かう。



「涼華、何かあったらすぐに呼べよ。

俺か薺、すぐに駆けつけるから」



武藤君は寝そべったまま顔をこちらに向けずにそう言った。



何も無いとは思うけど。



「うん…分かったよ」


私には勿体無さ過ぎる言葉だ。






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