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HRも終わって帰りの用意をしていた。
赤里君は学級委員の仕事とかで先生に呼ばれてた。
葛葉はバイトがあるからと急いで帰っていった。
残されたのは私と薺。
「じゃ、帰ろーか」
薺の言葉に、そうだね。と返事を返した。
「ねぇ、涼華」
帰り道、薺が私の家に寄るからと言ったので私の家に足を進めていた。
「へ、なに?」
なんて無い会話の途中で突然薺が真剣な顔をした。
「一昨日、どうだった?」
一昨日?
「一昨日?どうって?」
何の事について言っているかイマイチ分からなくて聞き返す。
「将と買い物行ったんだろ?」
楽しかった?と聞かれた。
「え、うーん。まぁ。あ、そうだ意外と武藤君ってゲームとかするんだね。
その話で少し盛り上がったよ」
そうそう、ゲーセンで格ゲーやったり、落ちゲーやったり。
それとは別に他のゲームとかの話もしたなぁと、
気が付けば一昨日の事と薺に話していた。
「そう、それは良かった」
にこりと。
あまりにも、薺が綺麗に笑うから。
嬉しそうに笑うから。
何故か…泣きたくなってしまった。
「私はさ、何があってもアンタの味方で居たいからさ。
もし、何かあったら言ってよ。
誰よりも、アンタが大事だからさ」
改めて、そんなことを言われた。
そうだ。いつも、いつも。
薺はこんな私の味方で居てくれる。
こんな私の傍に居てくれる。
「…うん…ありがとう…」
「ところで涼華は、将の事どう思ってる?」
目の前で美味しそうにお茶を飲んでいる薺。
私の家に来てなんとも知れない話しをしていて。
突然の言葉。
「へ?」
「単刀直入に聞くけど、好きか、嫌いか」
好きか、嫌いか。
正直言うとどちらでもないのだと。
話しやすい時は話しやすいけれど。
「…苦手…なんだと思う…」
武藤君は他の人と話している時はとげとげしい雰囲気を出しているのを良く感じる。
薺たちと居る時と全く雰囲気が違う。
怖いと思うことが多々ある。
「そう、アイツさ、あんなんだけど結構単純だよ。顔に出やすいし」
そうなのか、武藤君は良く分からない。
多分薺は武藤君とずっと一緒に居たから分かるだけなんだと思う。
「うん…。私はよく、分からないなぁ…」
分からない。武藤君のことは全然知らない。
知りたいと…思っているのかなぁ…。
「将は、アンタと仲良くしたいと思ってるよ。
嘘じゃない」
「え!?なんで!!??」
「さぁ…理由は知らないけど…
少しは将の事見るてみるのもいいんじゃない?」
みる…?みる…ねぇ…
うん。最近はそこまで苦手じゃなくなったのかも。
最初に比べて…
武藤君の目を見て話してくるのも嫌じゃなくなった。
キラキラした目。
藍い髪が揺れるのが綺麗だと思うようになった。
「…人って変わるもんねぇ…」
思ってることとか、その人に対しての気持ちとか。
「そうだろう。私達だってそうだったじゃないか」
そうだ。私も薺も最初はお互い話しもしなかった。
嫌いあってた。
「そうだね。そうだったね」
そう言って私と薺は思い出話に花を咲かせていた。




