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「まぁ、どっちでもイイや」
あ、どっちでもいいんだ。
結構真剣に考えたのに。
「嫌いとか苦手なもんって変わってくるしな」
はははと笑いながら言う武藤君。
心が広いんだろうな。
「交流を深めたら何て事はないだろう」
交流を深める、かぁ。
もっと話すとか?
「それより顔」
顔?
「痣になってんじゃん。ソレ」
なんて顔をするんですか。
折角の顔が台無しですよ。
「痣にもなるんじゃないかな。すごく痛かったし」
すっと、武藤君の手が伸びてきて来て左頬に触れた。
あ。意外と冷たい。
「お前化粧とかしねーもんな…。ガーゼとかねーの?」
もちろん化粧はしたこと無いッスよ。
ガーゼはあったかなー?
「さ、探してみるよ」
武藤君の手から逃げるように救急箱をあさり出した。
「あ、あった」
ちょうどテープも。
取り出したとたん武藤君に奪われた。
「あ」
と声を出してる間にささっとガーゼを頬に当てられテープで固定された。
「なんだか大怪我したみたいじゃない?」
「大怪我だろ!大怪我!後残ったらどうすんだ!」
アホ!と言われた。
くそう。何もアホと言わなくても…。
「そう言えば、武藤君って何しに来たの?こんな朝早くから…」
特に用事が無いというならば早々に帰ってもらおう!
「あ、そうだよ、お前今日眼鏡作り行くだろう。それに付き合ってやるよ」
「え!?」
「嫌な訳ねーよな?俺が一緒に行ってやる言ってんだから」
ニヤリと笑う武藤君から不吉なオーラが出てた(見えないけれど)
今日もまた、穏やかではない一日になるんだろう。
そう思ったら又ため息が一つ出てきた。




