2
顔を洗って、歯を磨いて。
服を着替えて髪の毛を梳いた。
部屋に戻ったらテレビが付いてた。
武藤君がお茶を片手にテレビを見てた。
小さなテーブルの横に私は座った。
武藤君はボーっとテレビを見てる。
私はひたすらお茶を飲んでる。
何だ…この沈黙は。
てか、ここは私の家なんだが。
私が気を使って話題を振るべきなんだろうか!?
でも武藤君との共通点なんて何一つ無いんですけど!?
嫌にテレビの音が響き渡る。
時刻は8:50分。
武藤君が家に来て約20分。
玄関先で話してから会話が無い。
どう…しよう。
何で自分の家に居ながら居た堪れない雰囲気を味わなければならないんだろう。
「何暗くなってんだ?」
今までテレビを見てたはずの武藤君がこっちを見ていた。
「えっ!?いや!その…」
別に、会話を求めてるわけではない。
かと言って誰かが自分の家に居るのに無視して自分の好きなことを出来るように神経がそこまで図太くはない。
ふと、武藤君から視線を逸らすように下を向く。
じーっと見られてるのが分かる。
「涼華さ、」
「へ?」
突然話しかけられたからつい顔を上げてしまった。
「俺の事嫌いだろう?」
まさか、直球で言われるとは思わなかった。
「あ、うん、いや!嫌いって言うか、何と言うか」
うーん。嫌い…じゃないんだと思う。
薺の親戚だし。昨日も助けてもらったし…。
元々男の人と話す機会って言うのが全くなかったから男の人と話すことが苦手だし。
それに武藤君はどちらかと言うと不良っぽい所はあるけれど誰にでも話しかけるタイプだし…。
自分とは正反対なんだよなぁ。




