再誕
リサとよばれた少女は、歳の頃は16、7だろうか、この地では珍しい金髪をポニーテールに西洋の髪留め
膝丈の短い赤い浴衣を身に纏い、やや傾いた長屋が連なる軒先を駆け抜ける。
その後、おにぎりを喉に押し込んだユウゴは、天を見上げつぶやいた。
”なぜ、空が赤い?”
今は昼のはず、夕焼けの茜色でもなく、鮮血のようなに紅いわけでもない。
そう、快晴時の青色が赤色にとって代わられたような赤。
悪い気はしないが、やっぱりここは地球でもないし、ましてやゲームの世界でもないようだ。
”それはね、海が朱いからだ、そうだ”品のいい声が後頭部上から聞こえる
”なんで!おまえがいるんだよ!!”間髪いれずに振り返ると
長身の、品のいい顔立ちをした男が、笑顔を張り付かせ立っていた。
”ジーク・ピリオド、リサ・クラフト第2皇女様の親衛隊長だからだ”
うん、それは知ってるが、敵のはずのお前がここにいるのかってことで
悶々とするユウゴが言葉を発しようとしたとき
”お疲れさまでした、ジーク”
リサが駆け寄ってきた。
”身に余る光栄でございます。このように姫様より直接お言葉をいただけるとは”
長屋がつらなるあぜ道で片膝をつくジーク。
おつかれさま、さらに混乱してきた。
”おい、どういうことだ!リサ!!”
金属音とともに、喉元がヒヤリとする。
ジーク王宮装飾がなされた剣の切っ先がユウゴの喉にあてがわれる。
声がでないユウゴ、片膝をついていたときとは打って変った顔つきのジーク。
”やめなさいジーク、この方は良いのですよ”
”ですが姫様、、、”しぶしぶ、剣を収めるジークの目は、暴虐のそれであった。
”お答えいたします、それは、、、”
”それは、、、”はやる気持ちを抑えきれずオウム返すユウゴ。
”設定です。”
そう、設定ね・・・・・・・設定?!
ジークが呪文を唱え終わるより前に、ユウゴの右の拳は腹を貫き
血を吐き倒れこむ。転がる紅玉。
それを見て、盗賊・武士は四散した。
紅玉を拾い上げ、リサの元へ駆け寄り勝利を分かちあい抱き合った、
恋愛にも似た感情、、、それが設定。
”設定なら仕方ないか、、、っておい、ふざけ”
金属音がかすかにしたので言葉を飲み込む。
”インデックスの社長にこういうセッテイでお願いすれば協力してくれるようになるって言われたんだけどな”
”姫様それは言ってはいけない約束”
”ユウゴ、セッテイってなんだ?”
頭を垂れうなだれるユウゴ。
そのまま路地裏に入り、人生で初めてのことだったと思う。
あぜ道をその社長だと思い、唾をはいた。