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駆け抜ける力

試験投稿です。プロットは出来上がっています。アクセス数・評価があれば連載継続します。勝手ながら申し訳ありません。

「火よりも碧き者イフリーテ」


漆黒のローブに身を包む小柄な少女が叫ぶと、身の丈3mはあろうかと言う灼熱を纏った人影が突如現る。


その者は人と表現するには大きなズレがある。山羊のような頭部を持ち、胴体はゴリラのように屈強で、足は馬のそれであった。


「くっ、まさか召喚。しかたねぇここは引くか。」


少女を取り囲むように円形刀シミターを携え上半身裸のいかにも野党ですと言わんばかり男達が後ずさる。


「そうよ、あんたたちにこの上位精霊のイフリーテにかなうわけないんだから、引きなさいよ。」


漆黒のフードから除く金の髪の隙間の碧眼は揺らめいているかのように思えた。


奥深い森林の中少し拓けた場ではある。男達の数は1、2、・・・7、8人か。


「わかった、ここは引こう。ただし、お嬢ちゃん盗んだものを返してもらおうか。」


木陰から身なりの良い長身の男が品の良い声を発する。


「・・・な、なに言ってるのよ。か弱い私が盗みなんてするわけないでしょ。ましてやお上から。」


そう彼らは、煌国の役人といっても京からずいぶんと離れた辺境の正規の軍人なのである。


「ほう、何故私達がお上の人間だとわかった?」


その鋭い質問にリサは口ごもる。


ふと、イフリーテと呼ばれた物体が蜃気楼のようにゆらめく。


「御頭、こりゃ召喚なんていいもんじゃないですぜ!」


悪人口調たっぷりでひとりの男が言うと、引きぎみの足が入れ替えられる。


「オカシラじゃない、センセイと呼べと何度も言ったろ!」


「へい、御頭」長身の男に間髪いれず他の男が相槌をうつ。


円形刀シミターが構え直される。


「あんたたち、これ以上近づいて見なさい。丸焦げにするわよ。」


ヒステリックな声をあげる彼女を尻目に、長身の男は声を荒げる。


「火の光より明るきもの、ライトニング!!」


暗闇に天から一筋の光が差し、イフリーテと呼ばれた物体を引き裂く。


その幻影は、きらめくエフェクトがかかったように四散した。


それを機に、野党たちはリサに襲い掛かる。我先に功を挙げんと。


剣戟ケンゲキをかわすごとに、漆黒のローブがさけ白い柔肌があらわになる。


右から横一線の太刀が、後ろに飛びのけると背中に何かがぶつかる。


「いい加減にしてくれないか、お嬢ちゃん。わたしは、君にかまっているほどヒマじゃないんでね。」


長身の男はリサの手首をつかむと吊り上げ、弄る様に切り刻まれたローブのなかを物色する。


「いや、やめなさいよ!変態!!」


「変態とはまたずいぶんな、言い方をしてくれる。残念だが、私はガキには興味がなくてね。」


目的のもの、緋の宝玉、拳大の紅い水晶を掴みだすと、リサを地面に放り出した。


「返しなさいよ!!」


「返しなさいよって、これはおから盗んだものだろ。リサ・クラフト元皇女殿下。


まぁ、私は相手してやれないが、彼らは君に興味があるそうだ。」


「ジーク、あんた最低よ。」


「元、とはいえ私はあなたの親衛隊ですから、多少は心が痛みますね。」


金髪の長身の男は闇夜に姿を消した。


「ぐへへ、おらが一番だ。オガジラの次にえらい。」


猫背に、ぼさぼさの頭、数ヶ月は風呂にさえ入っていないであろう野獣が歩みよる。


リサは必死に逃げようと地面を後ずさるが、先に何か魔法にかかったらしく


体がうまく動かない。声が出なくなっていた。


3年前と何も変わらない、自分の無力さとともに、野獣が襲い掛かりローブに手がかかる。


視界に映る闇夜の星々がきらめき、その一つが空間をツンザいた。


野党たちは飛びのくように、音のしたほうに目をやると


天空より木々をなぎ倒したかのように、爆煙が立ち込めていた。


その煙がはけると、一回り大きい鉄の長方形の棺桶のようなものが突き刺さっていた。


だが、野党たちはそんなことよりも供物の方が興味があったらしく、卑猥な行為をはじめようと


したとき、鉄扉がゆっくりゆっくりとひらく。


無力さを補うにあまりあまるほどの希望が何故かそのとき、リサは感じられた。


『王家滅びに召さんとき、インデックスよりの使者が彼の者を救うだろう。』


未だに意味はわからない。クラフト家の伝承の一つである。


「ごほっ、ごほっ、なんだやっぱりこのエレベーター壊れたか。」


ユウゴは無事を確かめるかのように手足を見る。


「ほんと死ぬか思ったな。・・・っていうかここどこだ。」


近代文明の面影が一切残らない森林の奥深く、木々に関しても原生植物・針葉樹林が多く見慣れたものではなかった。


南半球を思わせる澄んだ大気に煌くいまにも落ちてきそうな星々。混乱しそうな脳回路を一筋の声が駆ける。


「助けて!!」


少女と思われる声の方に歩みを進めると、猪や虎のような野獣の皮を被った男達が歓喜をあげていた。


それを割って、ボロボロの布切れを纏った金髪碧眼の少女が駆け寄ってきた。


肩を震わせ胸に飛び込んできた彼女を抱えると、何をされそうになったがわかり沸々と怒りが湧いてきた。


「逃げるぞ!!」


「えっ?!」少女は感嘆の念をもらす。



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