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4話 初めて笑いかけてくれた君

 

(——あの人...今朝助けてくれた人...っていうか

 新入生なのか!?)


 前まで中学生だったとは思えないくらい

 上背があり、大人びた雰囲気がある。

 落ち着いていて全く動じない。

 今朝と変わらない姿だ。


「新入生代表挨拶。春の暖かな日がさす

 今日このごろ——」


 彼は声色一つ変えず、

 ずっとただ単調に挨拶を読んでいた。


「——新入生代表。佐野颯志。」


 パチパチと拍手が起きたのち、

 またプログラムは進んでいった。

 そしてほどなくして入学式は終わり

 各々が教室へと行くことになった。


 教室の中へ入ると先に到着していた

 クラスメイトたちが、話していたりだとか

 それぞれ好きなことをしていた。

 教室の後方で机に伏して寝ている

 彼——佐野颯志が目に入る。

 俺は自分の席に着き、後ろの席の旬と話していた。


「あの人がそうだったとは。

 しかも新入生代表だし。」

「ねー。びっくりしたよ。しかも新入生代表、

 つまり入試は首席。」

「まじで!?頭良いんだなー。」

「しかもスポーツもできて高身長!

 ルックスもさることながら中学では相当

 有名だったんだよ〜!」


 旬から話を聞けば聞くほど改めて

 俺とはかけ離れていると思えた。

 しばらく話をしていたらチャイムが鳴った。

 それと同時に教室の扉が勢いよく開き、


「よ〜し、それじゃあHR始めるぞー!」


 おそらく担任であろう男が入ってきて

 HRが始まった。


「俺は比嘉亮太(ひがりょうた)だ。

 1年3組の担任をさせてもらう。」


 比嘉は自己紹介をしながらチョークで

 音を立てながら黒板いっぱいに名前を書いた。


「担当教科は化学。一年間よろしくな!」


 (すごく元気というか...頼もしそう)

 

「さっそくだが...皆には自己紹介を

 してもらおうと思う。順番は...

 出席番号順でいいよな!じゃあまずは朝田!」


(げっ...そういや俺出席番号1番じゃん...

 名字的に1番多いんだよな〜っていうか

 何言うか考えてないし適当に言お)


 俺は席を立ってクラスメイトの方を向き話す。

 

 「...え〜っと、はじめまして。朝田響です。

 趣味はゲームとかで、ネコとかが好きです。

 よろしくお願いします。」


 とくに当たり障りのない無難な自己紹介をして

 次にまわそうとした。

 教室では皆拍手をしてくれていたがふと視線に

 佐野が俺の顔を見て拍手しているのが入った。

 でもそれよりも口元が少しゆるんでいるような

 まだ見たことがない、初めて見る優しそうな顔が

 一瞬うかがえた。

 だが、それも束の間でまた、すぐにいつものような

 すました表情に戻った。


「はい、今宮旬です。よろしくお願いします!

 絵を描くこととか、スポーツ見たりするのが

 好きです。それで——」


 としばらく旬が話している間、佐野に目をやると、

 暇そうに窓の外を眺めるように別の場所を

 向いていた。その後も同じ調子だった。

 ——なぜ俺のときだけ、しっかり見てくれていた

 のだろう。しかも、少し笑っていたし。

 そう考えつつ佐野の順番がまわってきた。

 周りのクラスメイトや女子たちも

 少しざわめき始めた。皆やはり佐野のことが

 気になるのだろう。


 「佐野颯志です。1年間よろしくお願いします。」


 そう言ってペコリと頭を下げまた席に着いた。


 (...短っ)


 思わず口に出してしまいそうになったが

 その場の誰もがそう思うだろう。

 少し空気が変わってしまったが、また戻り、

 そのまま自己紹介の時間は終わったのであった。


クールメモ

比嘉 亮太/ひが りょうた

年齢:29歳

身長:178cm

体重:70kg

誕生日:9月29日

血液型:O型

星座:てんびん座

好きなもの:水泳・ジム・犬・キャンプ

嫌いなもの:早起き・お酒・タバコ

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