23話 更衣中です!!
——とある日の放課後——
「——...よーし、じゃあ今日はここまで。次、赤点を取らないためにも
各自しっかり復習をしておくように。」
「ふぅーう、やっと終わった〜!」
——時計の針は6時をさしてる。もちろん夜の。といってもまだ夏だから
まだまだ日は昇っているけど。俺は今、英語の補修がやっと終わった所だ。
なぜ、こんなことになったかというと、期末考査で赤点を取ったせいだ。
おかげで今週ずっと英語の補修地獄だ。でもそれも今日でやっと終わり。
解放されて一息ついた後荷物をまとめて帰ろうとした。
だがそのとき、窓の外を見たときに、屋上近くの部屋——水泳部の部室の
明かりがまだついているのに気付いた。
「——そういえば今週はまだ部活行けてないな。」
そう思って顔を出すだけだして寄ることにした。水泳部での活動は比較的
自由な感じでそれぞれ、各自大会に向けて練習したりしている。
階段を上っていって屋上の扉を開き、プールへと来た。そして奥の方にある
部室へと歩いていってドアを開けた。——すると、そこにいたのは、
着替え中の佐野だった。下はまだ水着を穿いていたが、上半身は裸で
髪を濡れた状態だったから、思わず驚いてしまった。彼も急にドアを
開けられて少々驚いている様子でこちらを見ていた。
「わっ!?ごめん!着替え中だった?」
ひとまず謝罪を先にして、話を続けた。
「——...それにしても今日は部活来てたんだね。練習?」
「あぁ、朝田か。さっきまで泳いでいてちょうど終わろうとしたところだ。」
——それにしても体がすごいな...。高身長で、足の長さも際立って
筋肉もほどよくあって引き締まっているし、水着のせいで体のラインが...
なんて話もよく入らずにしばらく見惚れてしまっていた。
「——...あっ!?えっと、練習?そっか!!いや、俺は部室の電気がまだついてた
から気になって様子を見に来ただけでわざと覗こうとしたわけじゃ——。」
「分かってるって。ところで朝田も大会には出るのか?」
「まぁ一応出るつもりで練習してるよ。」
水泳の大会が7月に控えている。もうすぐ県大会の地区予選もあり
練習に本格的に取り組み始めるところだ。
「っていうか着替えてるんだったね。ごめん、すぐ出るよ——」
彼の着替えの邪魔にならないように部室を出ようとしたそのとき、
ツルッ!!
「うわぁ!?」
床が濡れていたのか、足を滑らせてしまった。そして転びそうになったのだが
そのとき何かにしっかりと支えられる感覚があった。
「——大丈夫か?しっかり気をつけろ。」
また佐野が転びそうになった俺を間一髪で受け止めてくれたのだ。
「あ、ありがと...——」
感謝を伝えようと彼の顔を見上げようとしたら、彼の体がすごく近くに
あることが分かってしまった。すぐそばで彼の心臓の鳴る音、息遣いが
わかるぐらいの距離で彼の支える腕の中にいて、俺も心臓の鳴りがどんどん
高まっていって、佐野に伝わらないか心配になった。
すぐにその場をさっと出て後ろに一歩下がってもう一度感謝をした。
「あの...、ありがとう。ちゃんと気をつけるよ。」
なんだかその場にいるのが気まずくなり、足早に部室を出てろくな挨拶もせず
俺は帰ってしまった。
(——あーあ...勝手に入って勝手に転んで、迷惑かけて何してるんだろ。
いつも助けてもらってばかりだし。——一緒に帰れば良かったな...。
明日はちゃんと部活に行こう。それでちゃんと練習しよう。)
そう思いながら家のベッドで先の出来事を思い返していた。
(——...それにしたって水着姿の佐野もすごかったな...っていうか何で本当に
あいつの前だとあんなにドキドキしてしまうんだろ。最近そのせいで
まともに喋れないし...あ〜!!もうどうすればいいんだよ〜!!)
一人で佐野のことを思い出しながら悶々と悩みながら、しばらく眠れずに
夜を過ごしているのであった。
クールメモ
北山高校の水泳部の部室にはいろんなものが盛りだくさん!部員専用のロッカーはもちろん
トレーニング用の器具やシャワー室、部員がこっそり持ち込んだお菓子も!広さもまぁまぁ大きくて、
防音設備まで完備!楽しそうな部室ですね!




