21話 放課後二人の勉強会
クラス会後日のHRにて。
「——よ〜し、文化祭も終わったことだし、一学期の行事はほとんど
ほとんど終わったな。みんな、本当にお疲れ。」
文化祭も無事に終了し、クラスの雰囲気は前より少し元気で明るく
なっている。クラス全員で取り組んだから皆仲良くなっているのだろう。
「...しかし、行事も終わって一息つきたい皆に残念なお知らせだが、
まさか忘れてないよな?」
その一言でクラスの空気ががらりと変わってシーンとなった。
「——そう!あと3週間で期末考査だ!成績にしっかり入るから皆しっかり
勉強するように!」
「あー!!まだ何も勉強していないー!!」
「やばいどうしよ〜!」
皆焦り始めている様子だ。教科は国語<現代文・古典>、数学<Ⅰ・A>、
英語<コミュ・論表>、理科<物理・化学>、社会<歴史、地理>の
5教科10科目だ。俺は期末考査に向けて何か勉強したかと聞かれたら、
——無論、他の生徒と同様、何もしていない。つまり、こんなふうに
落ち着いている場合じゃないわけだ!やばい!どうしよう!
そんなわけで辛いテスト勉強週間へと突入していったわけだ。
休み時間は皆机に向かって勉強中だ。
中には単語帳を持ちながら暗記する生徒。
「allow,arrive,asleep,insane,include...」
時には呪文のように古文単語を暗唱する生徒。
「をかし、わろし、よろし、あはれなり、つれづれなり、...」
さらには公式をひらすら勉強する生徒も。
「a²=b²+c²−bc・cosθ!」
皆死んだ表情でとにかく何かしらしている。やばめの光景になっている。
「——俺も勉強するか。」
そう思って机の上に参考書を開いた。するとそこへ旬がやってきて、
「何の勉強してるの?あっ数学かぁ。英語だったら得意なんだけどね〜。」
と言った。旬は文系科目、特に英語が優秀である。
「まぁでも、数学で分からないところもあるし、今度一緒に放課後とか
勉強しない?」
「うん。俺も英語そんなに得意じゃないからさ。」
中学の頃はお互いによく受験勉強頑張ってなんとかしてきたなぁ、なんて
思い出がよみがえる。
—昼休み—
「——...そういえばさぁ、佐野は何か得意な教科あるの?...まぁ全部
そうなんだろうけどさ...」
成績も優秀な佐野にそんな分かりきった質問をした。しかし、彼は少し
俯いてしばらく考えた後、返事をした。
「そうだな...強いて言えば化学とか数学とか...理系教科は得意かな。」
「——...へぇ、そうなんだ。」
全教科点数は高いがその中でも得意なものがあるなんて新しい佐野の
情報を知れて少し驚いた。
「テスト勉強、苦戦してるのか?」
「まぁね...、とくに数学とか英語とかはよく分かんなくて...。」
すると、彼はまた何か考え込むような表情をしてこう言った。
「じゃあ、俺と一緒に勉強するか?」
「えっ?」
「いろいろ教えられるし。」
「いいの...?」
彼はしっかり頷いて笑った。そんなわけで俺たちは放課後に教室に残って、
勉強することになった。終礼後だいぶ時間がたち教室には俺と佐野だけが
残った。二人で机をくっつけて向かい合わせに俺達は座った。
「——それで、わからないところは?」
「えぇと...ここの問題で...」
「あぁ、この問題は余弦定理を使ってcosを求める問題で公式は——」
こんな風に彼は淡々と教えていった。しかも、わかりやすい。
彼のおかげで分からない問題もどんどん解決していって、勉強は順調に
進んでいった。
「あの...ごめん。わざわざ俺の勉強に付き合ってくれて。」
「いいんだよ。ちゃんと人に教えるのもアウトプットになるし。
——それでこの問題は...——」
そう言って彼はまた説明を始め身を乗り出して俺に教えてくれた。
だがここで思うことがひとつ。
彼が前のめりになって教えてくれているおかげで俺が顔を上げたら
すぐ目の前に佐野の顔が...!距離が!顔が近い!こんな美形の顔をあてられて
一人で勝手にドキドキしていた。
——こうして、近くで彼の顔を見つめてみるといろんなことに気づく。
まつ毛が長くてきれいだなぁ。目の下に泣きぼくろがある。
肌艶も良くてきれい。改めてすごいイケメンだと思える。
「どうした?手が止まってるけど。」
「——え?あ、いや何でもないよ!」
思わずしばらく見惚れていたけれど二人きりでこんな近距離でいれるなんて
本当に貴重な時間だな、なんて思っていた。
こんな調子で何度か彼に勉強を教えてもらいながらテスト勉強を
進めていった。
そうして迎えた期末考査。いよいよ始まる——!テスト!
クールメモ
佐野 得意科目 化学・数学・その他理系科目 苦手科目 なし
朝田 得意科目 地理・歴史・国語 苦手科目 数学・物理
今宮 得意科目 英語・その他文系科目 苦手科目 数学




