14話 夕暮れで君の腕の中
文化祭準備中、本番まで残す所一週間というところまできて、
おふざけによってまさかの、衣装や看板とかいろんなものが壊れてしまう
というトラブルが発生。
——というわけで、今は皆ひとまず片付けて再度準備を始めようとしている
ところだ。そこで俺は佐野に名指しされて、壊れたせいで足りなくなった
資材や物品を買い出しに佐野と一緒に行くこととなった。
「——それにしても、まさかあんなことになるとはな...。」
「ほんとだよ。喧嘩もしてて佐野が来てくれなかったらどうなっていたか。」
二人で肩を並べて町中を歩いている。学校の外で一緒にいるのは
かなり新鮮な気がする。しかも、それだけじゃない。
「——ねぇ、あの人超イケメンじゃない!?」
「うわ本当だ。しかも学生じゃん。」
「かっこいい。」
すれちがいざまに街の人々が振り返っては佐野のことを噂している。
なにせ彼は背も周囲の人より頭一つ抜けるぐらい高いし、
あのクールなオーラと何にも代えがたいその美貌が誰しもの目を惹くのだ。
——俺はとなりにいるだけなのに、こんなたくさんの人に注目されたことが
ないから、結構むずがゆい感じがしている。もちろん皆彼のことを
見ているんだろうけど。
「...結構目立つね。」
「...?何が?」
本人はめちゃくちゃ注目を集めていることに自覚はなさそう。
——でも、これだけイケメンで何でもできる完璧な優等生なのに、
俺みたいな普通の奴って不釣り合いだよな。何でいつも俺と一緒に
いるんだろう...
「それよりも買い出しだ。...えーと、買うものは、布、画材、板、他にも——」
彼は買うものを整理して考え始めた。
「——じゃあさ手分けしようよ!お店も別々の場所とかで売ってそうだし。
俺ホームセンターとかにいって板とか、そういうの買ってくるから!
佐野は100均とかでなんか細かいの買っといて!」
そう言って俺は提案して、そそくさと別れた。
時間的に二手に分かれた方が効率が良かったし、それに、やっぱり
一緒にいると人目も結構気になってしまう。
俺はホームセンターまで行き、板や画材とかいろんなものの購入を済ませ、
ひとまず学校へ戻ろうとした。だが、荷物が結構重い...!
両手で持ってなんとか歩き出せた。フラフラしながら、なんとかこのまま
帰れるかな...、なんて思っていた。そのとき、
「よっ。大丈夫か?」
佐野が俺の顔を後ろから覗き込んで手を伸ばして、俺が一生懸命抱えていた、
荷物の袋をひょいっと軽々しく持ち上げて持ってくれた。
「あっ!ちょうど買い出し終わった?ありがとう!」
「あんま無理すんな。重いだろ。こっち持てよ。」
そう言って彼がもう片手にもっていた他の品の入った袋を俺に手渡した。
「ごめん、ありがと。力も強いんだね。」
「...大したことじゃないよ。」
どこまでもクールで冷静。でも俺に見せてくれるクールだけは優しさも
含まれてるんだな...。時間もだいぶたち、夕日が差している。
俺たちは川沿いの道を歩きながら帰っていた。
オレンジ色のひかりが彼を照らしていて、いつもと違った、
クールだけど、優しさや温かさがある彼の横顔を俺は歩きながら見ていた。
——ちょっと疲れたけど、楽しかったな...
そんなふうに思い更けていたから後ろから鳴る音に気づけなかった。
チャリンチャリン
「おい!よそ見するな!危ない!」
佐野が急に叫び、俺はようやく後ろから迫ってきていた自転車に気づいた。
そのときにはもうギリギリまで迫ってきて、ぶつかる!!と、諦めていた。
勢いよくギュッと目をつぶった。しかし、その瞬間誰かの腕の中にいて
抱きかかれられるような感触がして、そのまま一緒に横の土手へ
転がり込んだ。
「痛たた...」
しばらくして目を開けた。するとすぐ目の前に佐野の顔があった。
「大丈夫か?」
俺はびっくりして飛び起きた。
「うわぁ!?ごめん!かばってくれて転んだんだよね?大丈夫?怪我してない?」
すぐに心配して佐野の様子をうかがった。
「——大丈夫だよ。ったくお前ほんとに不注意だな。」
「ごめん...」
前に佐野が助けてくれたのも自転車が来てる所からだったよな。
佐野は俺の顔を見て少し笑った。
「よし!荷物バラけたし拾うか!」
そう言われて俺は周囲を見渡した。すると、あたりにいろんな物品が
転がっていた。おそらく転がり込んだときの反動でバラけたのだろう。
「あちゃ〜。」
俺たち二人は川沿いの土手で散らばった荷物を拾い集めながら、
何だかすこし面白くなって、笑いあった。
「なぁ、朝田。買い出しついてきてくれてありがとな。」
「ううんいいよ。」
荷物を拾い上げまた歩き出した。
「むしろ、こちらこそありがとう。」
俺は今日のことは大変だったけど、とても楽しくてとても面白くて
大切な瞬間になった。だから少し笑って顔を少し近づけて言い返した。
「——ッ!......。」
佐野は俺の言葉を聞いて、少し見開いて、一瞬何かをいいかけようとして
また口を閉じて「...こっちこそ。」ボソッと別の方向を向いてそう言った。
彼の様子を見ると、若干耳のあたりが赤くなってた。
——熱でもあんのかな。大変そうだし、今日は帰って休んでもらうとするか。
俺は彼の様子の変化にとくに気が付きもせず、一緒にそのまま学校へと
帰っていった。
トラブルとかいろんなことがあったが、無事になんとかなりそうだ。
そしてそのまま1年3組俺たちはなんとか準備を進めていったのだった。
クールメモ
モデルも顔負け!?高身長の超イケメン高校生の颯志はお出かけのときもいろんな服を着こなし、スタイル
抜群でスタイリッシュ!!よくモデル事務所のスカウトなども受けるが本人は興味がないため断っている。
彼が歩けば街も華やかに!颯志と響もいつか制服じゃなく私服のプライベートでお出かけできる日が
くるといいですね。




