番外編 吉川さんは佐野×朝田が気になる! Part.1
本エピソードには性描写を想起させるような表現が含まれております。
苦手な方は閉じるのをおすすめします。
ある日の昼休み。
「はぁ〜、昼休みか〜。どうしよ。」
私の名前は吉川真理乃。北山高校1年3組、いつも
クラスの隅にいては、推しのことを考えているような、地味めな女子生徒だ。
——最近、気になっていることがある。それは同じクラスで超クールイケメン
である佐野颯志についてだ。美形・高身長・学業優秀・運動神経抜群、
天は二物を与えない、とはよく言ったものだ、と思えるほど才能あふれた
人だ。そんな彼はあまり人と関わりをもとうとしない。だが、最近昼休みに
どこかへ行っているような素振りが見えたのだ。
私は趣味で推しカプの漫画を描いたりしている。だからこそ、いろんな情報が
知りたい!そしてネタになるような発見を求めて!
私は昼休みに、佐野くんの行動を追跡することにした。
(いわばこれは諜報活動!——気は抜けないね)
彼は購買へと行ったみたいだ。昼休みは購買部は生徒の人だかりが
すごいせいで、彼の様子が見えない...!
しばらく待つと彼はいくつかのパンを抱えてでてきた。
(お弁当とかじゃないのかな...?クリームパンに...)
再び追跡を始めようと思ったら、
ドンッ!!
背中に強い衝撃を感じた。周りの生徒とぶつかってしまったのだ。
すぐに頭を下げ、また戻ろうとしたら、
「——あれ...?もういない...。」
いつの間にか彼の姿は消え見失ってしまったのだ。
あからさまに落ち込み、私はトボトボと、歩いて、校内を散策していた。
とくにすることもなく、ぶらぶらまわっていたら校舎裏にまで来ていた。
そのとき、ある声が聞こえた。
「——ほら、はやくしろよ。」
——え?この声ってもしかして...耳を済ませると別の声も聞こえた。
「ちょっと待ってってば。」
こっちの声は...朝田くん?それに最初の声は佐野くんみたいだけど...
二人で何してるんだろ。
ゆっくり音を立てないように近づきながら耳を立てていた。
しかし、次に聞こえてきた話の内容に驚かざるをえなかった。
「——いつものこれがいいんだろ。ほら。しっかり味わえよ。」
「っ!!ムグッ!ゴホゴホ!いきなり押し付けて口の中に入れるなよ〜!」
——ッ!!これって...!
「ごめんって。でもお前いっつも夢中で食べるくらい好きだろ?
ちゃんと最後まで舐め取ってるしさ。」
「でも、これ大きすぎて、はいらないよ〜。あごも疲れるし。」
——もしかして佐野くんと朝田くんってそういう関係!?
心拍数が一気に上がりドキドキと緊張感が体に伝わる。
(...これは...確かめねば!...こっそり見よう...)
私は息を殺してしずかに校舎裏の壁から顔を少しだけ出して、声の聞こえる
方を見た。
「う〜んん!やっぱこのクリームパンおいし〜!」
「お前めっちゃこれ好きだよなほんと。ていうかめっちゃ手についてるし。」
「あ〜、もったいないし舐めておこ。」
その光景を見た私は少し戸惑った。
(...え?お昼ご飯食べてる...?じゃああのセリフは...?)
すぐに自分がした盛大な勘違いに気づき私は全身から滲み出るような汗をかき
すごく恥ずかしい思いをした。
(...だってこんな人気のない場所で二人きりって...それにあの言い回しは
ずるいでしょ...)
少し落胆したが、いろんな情報の収穫もあった。
佐野くんと朝田くんが仲いいことも分かったし、それに朝田くんと一緒に
いるときの佐野くんの表情はいつもと変わって楽しそうにしていた。
(——二人だけの楽しい時間か...私は教室へ帰るか...)
そう思って、私は教室へ戻り、佐野くんの追跡調査は終了した。
以来、佐野くんと朝田くんが一緒にいるところを見かけると思わず
ニヤけてしまう私なのであった。




