11話 文化祭の出し物は
今日もいつも通り登校していつも通り教室へ行く。少しだけ変わったことが
あるとするならば、クールで冷たい、他人にあまり興味がない、
そう噂されているあの佐野が俺と会ったとき少しだけ笑いかけてくれる
ということだけだ。
芸能界にスカウトされてもおかしくないよな、と思うほどの美形のイケメン
だから思わず心臓の動きが速くなってしまうこともある。
今日も授業を一通り終えHRの時間になった。比嘉からの話では
「もうすぐ学校行事の一つである文化祭が始まるのだが、そこで各クラスは
クラス企画を出すことになっている。だから1年3組は何の企画をするのか
クラスの皆で学級委員を中心に話し合ってほしい。」
ということで、文化祭で何の出し物をするか、という話し合いを
今しているのだ。
「何か案がある人は手を上げてください。」
学級委員が黒板の前に立って案を募って書いている。
「はーい。お化け屋敷がいいと思いまーす。」
「食べ物屋さんー!!」
「劇とかいいんじゃない?」
皆自由に意見を出している。そんな中一人手を上げ発言した。
「あ、あの私やってみたい企画があって...」
そう言ったのは、いつも隅にいて控えめな女子の吉川さんだ。
「その〜メイド喫茶...しませんか?」
「おぉ〜。」
クラスの男子たちはちょっと喜んでいた。
「えぇ〜。」
反対に女子たちは不満げな顔を浮かべていた。
「そういうの恥ずいし。吉川がメイドやりなよ〜。アハハ。」
露骨に反対意見を出している人もいた。しかし吉川さんは続けて話した。
「その...男子の皆さんも...一緒に...女装メイドを...」
その言葉が聞こえ男子たちは一気に困惑の表情になった。
そのときまた別の人が声を上げた。
「...でも、私も見てみたいかも。」
別の女子がそう言った。その言葉で皆は察した。一気に視線が佐野へ
振り向いた。
「確かにわたしも見てみたい。」
「うんうん!」
皆急に意見を変え始めた。だってあのクールな佐野がメイド姿をするなんて
見てみたいに決まってるからだ。
「面白そうだな。皆もやろーぜ。」
「まじかよ〜。わかったよ。そのかわり女子も男子も皆でやろうぜ。」
男子たちも面白がるように納得してクラスの意見はまとまった。
吉川さんにはクラス中の女子からグッジョブ!!と言わんばかりの称賛が
送られた。
「じゃあ1年3組の出し物はメイド喫茶で。」
学級委員は話し合いの意見をまとめた。次の話題にうつるよりも先に、
「それじゃあ早く役割決めよ!メイド役は?」
と、声が上がり早々に役割決めの話し合いにうつった。
皆はその声と同時に振り向き期待の眼差しを佐野に向けた。
佐野は思わず戸惑った表情で、たまったもんじゃないと言わんばかりに
「はぁ?俺は嫌なんだけど。」
すぐに断ろうとしたが、女子たちも負けじと、
「そう言わずにお願い〜。」
中々諦めようとしなかった。俺も多少は佐野のメイド姿が気になってたから、
「ひとまずやるだけやってみたら?俺からもお願いだよ。」
そう言って軽い気持ちで佐野の方を見て頼んだ。そしたら佐野はうつむいて
何かを考え込むようにしていた。そして顔を上げ俺の方をまっすぐ見て、
「——じゃあ、お前もな。」
と、言った。
「は?いや、何が?」
何のことだか分からずすぐに聞き返した。
「だから、お前もメイド役しろよなってこと。」
「——...ええぇぇ〜!!!」
一瞬聞き間違いがと思ったがしっかり意味を理解した。
何でそうなるんだよ!そう思ってしばらく大混乱していたHRだった。
クールメモ
北山高校の文化祭ももうすぐ!毎年保護者や地域の方とかがたくさん来ます。食べ物やさんや演劇、お化け屋敷にいろいろ、たくさんの出し物が毎年出ています。来場者や生徒の人の投票により、各クラス企画の表彰もあります。優勝したクラスには景品もあるとのことで皆やる気。1年3組は、といえば太っ腹な比嘉先生が「優勝したら全員に焼肉おごるぞ!」なんて言っちゃったもんですから俄然やる気。
果たして1年3組は優勝できるのか!?ファイトー!!




