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10話 二人でランチ

 ——昨日は水泳部に入部届を出して、そしたら佐野がいて、それでいろいろ

 話して...

 そんなことを考えながら俺は登校していた。


「おはよー!!」

「おぉ、おはよ。」


 早速、旬と会った。今日もいつものように軽快な挨拶を交わした。


「水泳部だっけ?どうだった?」

「——あぁ、いや良さそうな所だったよ。でもさ、佐野もいてさ...」


 それを聞いて旬は驚いたような顔をして目を見開いた。


「えー!?佐野くん水泳部に入ってたんだ!いろんな部活の人から引っ張りだこ

 だったからさ、どこに入るのかなって思っていたけど...意外だね。」

「まぁな、正直俺もびっくりしたよ。っていうか佐野がいるんだったら

 他の部員とか女子とかも結構来そうなんだけどな。」

「佐野くんって中学のころあれだけ運動できるのに帰宅部だったみたいで、

 皆も高校でもてっきり部活には入らないって思っていたらしいよ。

 ほら、若干人付き合い嫌いそうじゃん。」


 その話を聞いて佐野のいつもの教室での他の人への対応を思い出した。

 確かにあいつは誰かに話しかけられても薄い反応しかしないし、あまり

 部活とかでの人間関係は想像できない。あいつは入りたかったと思っただけ

 だって言っていたけど...だとしたら気まぐれなんだな。


 そう思い浮かべながら旬といろんな話をしながら高校へと歩いていった。

 朝のHRになり比嘉がやってきて話を始めた。


「入部届を出した者はどの部活に入ったか後で報告するように。

 さて、話は変わるが、今日からやっと授業が始まるぞ〜!!皆先生の授業

 受けるの楽しみだっただろ〜、なんてな。しっかり集中して受けるように。」


 と、話があったように今日から授業も始まる。国語に数学、英語や化学に歴史 

 にいろんな授業があって大変だけど少し楽しみだ。

 一限から授業も早速始まり、しっかり集中して受けることができた。

 昼休みの鐘がなり昼食をとることになる。


「お腹すいたねー。一緒ごはん食べよー。」

「そうだな。」


 そう言って俺は旬と机を近づけ昼食をとろうとした。俺は弁当を取り出そうと

 机の横にかけていたリュックの中に手をいれたがそのときに違和感を感じた。


(——あ、あれ。ない!!...もしかして忘れた!?)


 しっかりと目で確認して探したが見当たらなかった。最悪なことにお弁当を

 忘れてしまったのだ。


「あー悪ぃ、俺弁当忘れたわ。購買言ってパン買ってくるから先食べといて。」

「まったく、しっかりしてよ〜。」


 そう言って俺は教室を出て購買部へと行った。しかしお昼時で、昼食を持参

 してない生徒も多いのでたくさんの人で行列ができていた。


(...売り切れないといいんだけど。)


 そんな俺の嫌な予感は見事なまでに命中したのであった。

 ちょうど列も少なくなりもうそろそろ買うことができそう、そう思った矢先

 3,4人前の人で売り切れてしまった。


(うわぁ〜ツイてないなぁ)


 近くにいた人も全く同じことを思っていただろう。旬に少しだけもらおう。

 そう思って引き返そうとしたときに声をかけられた。


「おい。朝田だろ。」


 まさかのここでも佐野とばったり会うことになるなんて。


「あ...佐野...」

「俺はここで昼飯を買ってたんだけどもしかしてお前もないのか。」

「うん。」


 頷いて返事をする。彼はちょうどギリギリで買えたみたいだ。

 すると、一瞬だけ申し訳なさそうな顔をしながらすぐに元の顔に戻り、

 提案された。


「俺いくつか買ったからさ、いるか?」

「...え、いいの?」

「一緒食べようぜ。」


 なんともラッキーなことに佐野が買っていた分をわけてもらえることになった

 なんて。ありがたく受けとり一緒に食べることにした。

 スタスタと歩き始めた彼の後をついて行って連れて行かれたのは

 校舎裏にあるベンチだった。——というかこんな場所があったことを

 今始めて知った。


「——ここ、人目がつかなくて、物静かないい場所なんだ。」


 いつも昼休み見当たらないと思っていたがここにいたのか。

 きっと彼のことだからいろんな人から声をかけられてばかりで

 一人で落ち着ける場所が必要なんだ。


「確かにいい場所だね。俺に教えていいの?」

「——お前ならいいよ。」

「——ッ!」


 佐野がそう行った顔の表情がとても落ち着いて静かだけど少し笑った顔が

 とても優しく見えた。木陰の間から差した日が彼を照らして、なんだか

 すごく美しく、きれいで、しばらく見惚れてしまっていた。


「——?どうした。食べないのか。」

「...っあ、ありがと!」

「どっちにするんだ?お前クリームパン好きだろ。やるよ。」


 彼は両手に焼きそばパンとクリームパンを持って差し出していたがこちらが

 答える前に素早くクリームパンを手渡された。


「えっ、あっありがとう...」


(——まぁ確かに甘いもの好きだし、嫌いじゃないけど...まぁもらってる身

 だし断る権利もないか。)


 そのまま受け取り、二人でベンチに腰を掛けて、食べ始めた。


「どうして俺がクリームパンが好きだって分かったの?」

「何となく。朝田甘いもの好きそうな感じがしただけ。」


(——出た!お得意の「何となく」。そう言われたら何も言い返せないよな〜)


 しばらく食べながらいろんな話をした。そのときの佐野は普段教室で過ごす

 ときよりも楽しそうで、まだ見れたことのないような笑顔があった。

 皆はとても佐野のことをとてもクールな人で少し冷たい人だと思っているけど

 俺だけは彼の優しさや楽しそうにしていることを知っている。

 どんなに完璧な優等生でもその前にしっかり普通の高校生なんだなって。


「——なぁ、ありがとな。」

「え?何が?むしろこちらこそパンありがとうだけど。」

「こうして誰かと飯食べたの結構久しぶりでさ。——楽しかったよ。」

「うん。俺もありがとう。」


 そう言って少し笑って食べ終わった。


「そろそろ昼休み終わるし、教室戻るかー。」

「そうだね。」


 教室へと二人で戻っていって扉を開けて入った。すると、目の前に

 立ち尽くしていた人物が一人。


「響ー!!遅ーい!何してたのさ〜!!もう食べ終わったよ〜!!

「うわぁ!忘れてた!マジでごめん!」

「忘れてたって、どういことなんだよ〜もう〜。」

「いやぁ〜いろいろあってさぁ〜。ねっそうでしょ、ってあれ?」


 佐野はいつの間にか姿を消しそして教室の後ろの席に座っていた。

 またどこかを見つめるような遠い目をして窓の外を眺めながら。


(ふぅ〜、今はいつもどおりってことですか〜。)


 そう思いながら俺はいろんなことがあったけど今日の昼休みのあの時間が

 とても楽しい思い出になったと感じた。




クールメモ

 北山高校の購買部。いろいろ売っています。パンやお菓子はもちろん文房具から学校で必要な道具等。

人気商品はメロンパン!!昼休みの鐘がなった後に始まる熾烈な競争に勝ち抜いた者のみが手に入れられる

品物です。クリームパンや焼きそばパンとか定番のパンも大人気!夏はアイスを売っていたり。たまに

出現する比嘉先生。太っ腹でせがめばワンチャン奢ってくれるかも!?

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