1話 自転車と彼
春の暖かな日がさす桜並木——。
近くを歩く学生たちはおそらく同じ高校の
生徒だろう。
俺は朝田響。
今日から北山高校の生徒となる。
今は入学式に向かっている途中だ。
「はぁ〜。眠いな〜。」
春休みの間はロクに何もせずごろごろしていたか
体が怠けていたのだ。
と、そのとき遠くから明るい声が聞こえる。
「お〜い!響〜!」
手を振ってこちらに話しかけている。
彼は今宮旬。
同じ中学でその頃からの友人だ。
こちらも手を振り返していた。
——しかし、周りが見えていなかったのだ。
旬の方に駆け寄ろうとして
接近する自転車に気づかなかった。
「危ない!」
旬が何かを叫んでいるのに気づいたときには
もう横に来ていた。
ところが、後ろから腕を強く引っ張られる感触と
同時に体は引き寄せられ誰かの腕の中にいた。
「大丈夫か。」
——低く、沈んだ声が頭の中に響く。
それと同時に見上げたとき、
その人は、いや、彼は眉一つ動かさず
静かな顔をしていたのであった。
クールメモ
朝田 響/あさだ ひびき
身長:172 cm
体重:62 kg
誕生日:7月30日
血液型:O型
星座:しし座
好きなもの:ゲーム・漫画・ねこ・海・甘いもの
嫌いなもの:激辛・虫・料理