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第一話 奇妙デ奇天烈スギル摩訶不思議ナ男(終)

「サエグサさんは、就職活動しないんですか?」

「この歳で就職活動をするとなると戦略的なアプローチが重要なんだ。自己分析や徹底的な企業研究、自身の強みや効果的に経験をアピールする必要がある。でも、僕はそういった就職活動は面倒でやっていないというよりスキルがない。だが、金は必要だし健康も随時したい。昔は働いた事はあったが今の時代はIT企業とか介護・医療業界、建設業界が日に日に進化している。僕はそういうのはなかなかついていけなくてね。この部屋に散らかっている物があるだろ?今はまだ使えそうなのに壊れている物を修理したり軽い商売したりして金を稼いでいる。まぁ、たんまりと儲かっているとはいえないがボチボチながら楽しいよ」

「警察官なのに商売したりしているんですか?まるでこち亀の両さんみたいだ」

「それに節約するのも意外に楽しい」

明るい顔をして話すサエグサさんはまるで今の生活を楽しんでいるようにも見えた。

あまり不景気すぎて苦労しているようには見えない。

「でも、やっぱり。金はたくさん稼ぎたい。たまには豪華な物を食べたりしたいしゲームも買いたい」

なら就職活動をして働けばいいのに。

「あれ?でも、警察官って副業禁止じゃありませんでしたっけ?それに、お巡りさんって給料も良いイメージがあるんですが・・・。給料貰ったりしているはずです」

「ああ。僕、給料貰ってない。ていうか、うちの場合は給料出ないんだ」

なんだって?給料出ない??

あまりの突然の発言に俺は驚く。

「そんなことより。君、時間大丈夫?」

サエグサさんに言われて俺は自分の腕時計を見る。

気づいたら午後7時に回っていた。

「えっ!もう7時!?」

いつの間にかサエグサさんの話にのめり込んでいたみたいでだいぶ時間がかかっていた事をすっかり忘れていた。

バイトも友達と寄り道もしていないし連絡一つも送ってないので今頃、連絡も寄こさずどこで道草喰っているのか心配しているはず。

「すみません。俺、そろそろ帰らないと」

そう言って俺は立ち上がりスクールバックを持った。

「いや。構わないよ。長話してごめんね。おじさん。こうやって人と喋るの久しぶりだったから」

久しぶり?

どういう事なのか気になるが今は訊く暇はない。


交番所を出た俺はサエグサさんに見送られながらも帰り道を教えてもらった。

「ここを真っ直ぐ進めばさっき通った道に戻れるから。気をつけてお帰んなさいよ」

「ありがとうございます」

一礼した俺はさっそく彼の言われた通りの道を通ろうとした矢先、サエグサさんが呼び止めた。

「あっ。ちょっと待って」

俺は振り返った。

サエグサさんはボサボサ頭を搔きながらこう言いだした。

「さっきの贈り物のお礼だが、もし君の周りに何か変わった事があったらまたここに訪ねてきな。多分、僕のせいで‶アレ〟が見えたり見えなかったりするかも」

「アレ?」

「ああ。気にするな。何ともなかったらそれでいいんだ。もちろん。何も問題なかったら問題ないでいい。それと、僕のことは気にしないでくれ。全然忘れてもいいから。もしかしたら、これが最後かもしれないし。まぁ、もし何か妙ちくりんな事が起きたら試しにここに来てくれ。何も起きなかったら忘れてもいいけど一応、心に留めておいてくれ。信じるも信じないも君次第だからな。呼び止めて悪かった。道中気をつけて帰れよ。さらばだ。若き青春の子よ」

交番所の引き戸が完全に閉じた時、最後に「チリップ チャラップ アツパッパー・・・・」と言い残した。

チリップ?チャラップ?

何かのお呪いか?それとも呪文?

そう思いながら気になって歩きながらスマホで今の言葉を調べてみた。

それにしても、この通りは何だか変わった雰囲気がする。俺が知っている景色とはまるで別で不気味さと不思議さがあって何だか怖い感じがした。

空が暗いからなのか?それとも、道を通る度に妙な空気感と雰囲気のせいなのか?

爪の先から頭の天辺まで感じるゾクゾクさと暗くてちょっと冷たい空気。近くに何かがいる怪しい気配と視線が俺の背中に突き刺す。

これはまるで、小さい頃に行ったお化け屋敷と雰囲気が微かに似ている気がした。

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