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第三話 オ日様ニ嫉憎ト背後霊ノ報復(その9)

拳の一発一発が重くて強く女の子とは思えぬ圧倒的な力で怯んだ樋上をねじ伏せる。

陽菜の拳は喧嘩する時のパンチと同じ攻撃力で無抵抗な樋上を圧倒させこれでもかと殴り続ける。

樋上は両手で自分の顔を守り陽菜の猛攻を耐えていた。

「あんたのせいだ!!お前のせいだ!!お前が私の夢を奪った!!響矢くんの夢を台無しにしやがった!!!私たちの未来を全部持って行きやがってざっけんじゃねぇぞ!!!お前が私の宝物を早く返さなかったせいで全部水の泡になった!!てめぇが余計な事をしたせいで私の人生は全部終わった!!!おかげで響矢くんはお母さんに心許ない事を言われてそのせいで心が死んだ!!!てめぇが響矢くんを不幸にさせたんだ!!!てめぇみてえなクサレボケクソハゲチャビンがのうのうと響矢くんに近づきやがってマジでムカつくんだよ!!!あんたのせいでどれだけ響矢くんが苦しい思いをしてきたと思ってやがる!!?私を見殺しにしておきながらよくのんびりと生きてられるよな?!!てめぇみてえなクズ野郎はさっさと死ねや!!!」

えげつないぐらい迫力ある憎悪と憤怒が溢れ出していて自分の人生を狂わせた元凶の樋上に容赦もない罵詈雑言を浴びさせ彼女の精神を抉り出す。

名にも抵抗ができない樋上は表情を歪ませながら降りかかる暴力を受け続ける。

すると、陽菜は殴るだけじゃ物足りなくなって樋上の髪の毛を摑み引きずり出した。

ズルズルと髪を引っ張られている樋上は海に連れていかれた。ジタバタと足をばたつかせ陽菜の腕を摑んで引き離そうとするが陽菜はあくまで幽体。物体が幽体に触れるなんてさすがにできない。まるで空気を摑んでいるようなもので触ろうとしても空振りしてしまう。

幽霊になった時、自分の変わり果てた姿を見た時はすごくショックを受けた。すぐさまあの女を一発ぶん殴ってやると思い樋上の頭を殴ったが手がすり抜けて触ることさえできなかった。自分の葬式の時も何度も何度もぶったり蹴ったりと繰り返したが樋上には通用しなく結局、復讐はできなかった。そして、母親に罵倒されて塞ぎ込んでいる大海を見て心を痛めた。その光景を見て彼女は必死に自分がいる事を訴えたが大海はもちろん誰も気づいてくれなかった。

葬式の後、自分が樋上に払い落とされて水死したという真実を伝えたいと思い大海の背後霊になった。

陽菜の葬式からしばらく経ったある日、元凶である樋上が千葉から大海に会いに鎌倉に来たのだ。

樋上の再会に陽菜は再び拳を振るって殴ったり足で蹴ったりしたがすり抜けて何のダメージも与えられなかった。仲睦まじそうに喋る樋上を見ているとだんだんムカついてきてぶっ飛ばせないのが一番の屈辱だった。

悔しさと恨みが募り樋上への敵対心を強め強い恨みを持ったことで功を奏したか物体を触れられるようになり幽霊になってもこうして物理的に攻撃ができるようになった。

自分の願いが実現して七ヵ月前の復讐ができるようになり陽菜は喜んでいる。

樋上の頭を摑んだまま彼女の顔を海水につけたり離したりと強い勢いで繰り返し苦しませる。冷たい海水に顔をつけられ樋上は呼吸をする暇もなく無理矢理強く押し込まれたり勢いよく引き上げられたりとそういう繰り返しが続いた。

服も頭もびしょ濡れで顔が海水に入った時、吸い込む事も息をする事もできず窒息してしまいそうだった。

「どうだ?!苦しいか?!苦しいだろ!?私はこんな風に苦しんで死んだんだ!!あんたも海の藻屑にしてやる!そしたら一緒にあの世へ行って続きをやろうぜ!!」

狂言が続く陽菜の幽体は白から黒色へと徐々に染まりつつあった。

今、彼女は悪霊になりかけている!

白から黒へまるでオセロみたいに体の色が変色していくと更に凶暴性が増して彼女に眠っていた憎悪がむき出しになり血走った陽菜の目から恋人への申し訳なさと後悔が詰まった涙が零れ始めた。

「ごめん・・・!ごめんね・・・!ごめんね響矢くん。あの時、あなたの言う事をちゃんと聞いておけばこんな事にはならなかった!せっかく私をあのクソババアの束縛から解放してあげようとしてくれていたのに私はあなたに何もお返しができなかった。私はいつもあなたに頼ってばかりで私は何もしてあげられなかった。せめて。せめてこの女を私より先にあの世へ行かせてあげるからね。そしたら次はあなたを苦しめたあのババアをあの世へ連れて逝くからね。私にはこうする事しかできないから響矢くん。せめてあなたが抱えている苦しみを私の手で救ってあげるからね」

とても優しく頼りになるうえいつも気にかけてくれていた大海に感謝と謝罪の意を込めて樋上と自分の母親を黄泉送りにする事が自分からの恩返しだと思っているみたいで彼の傷ついた心を癒す為には自らの手で始末をつけなければならない。

自分が味わった苦しみを今度は樋上が味わう番だと力強く乱暴に扱いながら無理矢理に樋上を海水につけさせた。

樋上はもがきながらも顔が海水の中に入って上手く呼吸と息ができず酸素が取り入れない状態になっていた。まるで空気と酸素が少なくなった洞窟に閉じ込められているかのような息苦しさが樋上の意識を遠のかせる。

「どうだ?苦しいか?苦しいだろ?!溺れる心地はどうだ?!テメェみてえなクソ野郎にとっては相応しい格好だよ!勝手に僻みやがってマジで迷惑なんだよ!私を海に落としたクセにのうのうと呑気に生きていやがって!!私の人生を全部台無しにしたお前にこれが一番お似合いだぜ!!!さっさとくたばって私の所に来い!!この根暗クソ僻み木偶人形!!!」

優しくて明るい陽菜にとっては彼女らしくない数々の狂言が更に憎悪が高まり復讐心が燃え滾っている。

力強く押さえつけられている樋上はもう限界が来て既に酸欠状態に陥った。

そして、遂に意識を無くし心臓の動きが停止した。

手応えを感じた陽菜は強く樋上の肉体の中に入っている魂を強く引っ張った。

魂の上半身が肉体から離脱した時、樋上は自分の成れの果てを目撃した。

頭を鷲摑みされて肉体から引き離されそうになっている樋上は悲鳴を上げた。

「さぁ。次はどんなことして痛めつけてやろうか?お前への復讐はこれで終わりじゃない!!まずは嫌というほどいたぶってそれからあの世へ送ってやる!!!どうだ?こんな惨めな死に方してどうだ?!テメェにしちゃあピッタリな最期だぜ!!さぁ、次はどう痛めつけてやろうか?!!さっさこっちに来やがれ!!!アヒャヒャヒャヒャ!!!!」

悪魔のような笑い声を出す陽菜を見て彼女の凶悪的な恐ろしさに身の毛がよだち何をされるか分からない恐怖感が樋上を襲い震え上がらせた。

これで一つ目の目標が達成できると陽菜は狂喜しシールを剝がすみたいに樋上を肉体から徐々に引き離していく。

狂乱する陽菜に対し抵抗ができず圧倒的に不利な状況に陥った樋上は自分の力ではどうすることもできずただ引っ張られるだけで足元には及ばなかった。

助けを求めてもここは夜の海岸で誰もいない。それに幽霊になれば誰も自分の姿に気づいてもらえないうえ声も届かない。

今、狂喜狂乱している陽菜は誰もが知っているおしとやかで優しいかつての陽菜ではない。

全くの別人でまるで悪魔のような姿だ。

陽菜の身体はだんだん黒ずんできて徐々に悪霊化しつつある。

怨恨と悲哀と憎悪と憤怒が爪先から頭の上まで混濁していて感情が抑えきれずもう殺しにかかっていて危険な状態だ。

発狂する陽菜の笑い声は誰もいない静寂の海に響き渡った。

これで一つ目の目標が達成できる。

これで、大海の苦しみが一つ消えるだろうと陽菜は嬉しそうに笑っていたその時、背後から鎖が飛び出してきて陽菜の体を絡め取った。

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