表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/27

第二話 七種十三郎トイウ男(その4)

合理的主義者といえばいいのかあんまりスピリチュアル的な話は興味なさそうな気もした。俺だってそう簡単に『幽霊って本当にいたんだ』なんてすぐ納得するわけにはいかないが夢でもなければ幻でもない。だって幻にしてはあまりにもリアルすぎる。

「あなたは一体?」

スズメさんが疑問を抱いているような気持ちで訊ねると彼は体を斜めに構え、頭を少し下げ、右手を前に出してこちらを見た。昔、何かの映画で見たことがあるようなポーズだった。

「お控えなすって。わたくし、生まれも育ちも東京です。性は七種さえぐさ 名は十三郎とおさぶろう。人呼んでナナクサのジュウサブロウと発します。以後、お見知りおきを。へへへ」

何だか昔を感じさせる自己紹介だ。

こういうのをなんて言うんだっけ?

「『ナナクサ』って確か春の代表的な七つの野菜で万病を防ぎ無病息災を願うっていうあれですよね?『ジュウサブロウ』は数字の『十三』を表していて『郎』は多分、『良』と『こざとへん』ですよね?」

「おーっ。お姉ちゃんよく知っているな。君、優等生だろ?すごいねぇ」

彼女の説明にサエグサさんはすごく感心して褒め称えた。

「『さえぐさ』の漢字は七つの種だがさっきお嬢ちゃんが言っていた通り七草を意味している。『とおさぶろう』は十三に郎だ。特に『十三』は忌み数つまり不吉な数字だ。縁起が良いいんだか悪いんだかよう分からん名前だけどな」

怪しさが増している人だが妙に警戒するような人物じゃない気がして何だか心が緩んでしまう。俺らより年上だけどなんかこう親しみやすいというか。外見がそうだからなのかな?今日はこの前より更に不可思議な事が一番多い日だな。

「あの。前から気になっていたんですけど」

俺は口を開いた。

悪い人じゃなさそうだけど全く知らない特に得体の知れない人にいろいろと質問するのは勇気が必要だった。

「サエグサさんは一体何者ですか?普通のお巡りさんじゃないですよね?それと、さっきの幽霊といいこの前の大怪我といい訊きたいことが山ほどあって。一体、何が起きているのか詳しく教えてください」

俺もスズメさんもこの前と今回の現状について疑問を抱いていたので分からないことだらけで頭の中が混乱しそうになる。

こんな得体の知れない怪しい人の詳細を深掘りするわけでもないが、納得できるような説明が俺たちには必要だった。

「それもそうだよな。こんな場面見たら何が何だか理解が追いつかないもんな。オーケー。このおっさんが君たちの疑問に答えて進ぜよう」


また再び不思議な交番に来るとは思ってもみなかった。

‶アレ〟。つまり幽霊が見えたらまた来いと言われたけどまさか、本当に幽霊が見えてしまうなんて信じられなかった。

西洋風と和風が合わさった交番を見た時、スズメさんはポカンと口を開けていた。

今の時代じゃこんな風変わりな交番なんて見たことがないから驚くのも無理もない。

畳が敷かれた部屋でちょこんと座っている俺たち。

俺が訪れた時と同じで部屋は相変わらず散らかっている。見たこともない物があったりして中には珍しい物がたくさんあるのかと思うと興味が沸く。

「お待たせ。コーヒーだけどいいかな?」

お盆を乗せた湯飲みに俺とスズメさんは『コーヒーに湯飲み?』と心の声で呟いたがサエグサさんには聞こえない。

あまりにも相性的にそぐわないがせっかく淹れてくれたので文句は言えない。

「ありがとうございます」

コーヒーを用意してくれたので二人でお礼を言った。

湯飲みには黒い液体が入っていて湯気が立ち込めている。この前は期限が切れたかのような茶色い緑茶をいただいた。今でもあの味は忘れられない。

「えっと・・・。なんだっけ?あっ。そうそう。まず僕が何者かだったよな?」

明るい声で疑問を持っている二人に迷うことなく答えてくれた。

でも、その答えた方が突拍子というかおかしな話だった。

「信じちゃくれないと思うけど。実は僕。地獄から来たんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ