おお、偉大なる羊蠅(ボラ)よ!!
掲載日:2023/01/09
おお、偉大なる羊蠅よ!!
お前こそ、枯渇した赤い大地の死の象徴。
命を穿つ軍勢。
水辺に打ち上げられた月魚の痛み。
肉より生まれる踊る病だ。
お前が
水牛の頭蓋に止まる時・・
色の無い干からびた地衣類の上に止まる時・・
ガーナの奴隷である私は救われるのだ。
人間が人間を殺す時・・
切り落とす時・・
鞭打つ時・・
火で焙る時・・
私達は恐怖で慄き、勘違いをする。
腕力のある大男が、
銃を持った黒檀業者が、
あるいは
カーチレの沼地の死の王が、
噴煙の向こうからやって来て、
俺達を徹底的に
この世で打ちのめすのだと。
ああ、快楽、憎悪、憐憫、痛み・・
これら全てが
日々を黒い色で塗り潰し、
その向こうで白い歯を見せて
笑っている何かがいるんだ。
だが、違う!!
偉大な羊蠅よ。
そう、この地にはお前がいる!!
お前こそが支配者であり、
打ちのめす者だ!!
赤子だろうと、
王族だろうと、
白人だろうと、
お前は無数の蛆として沸き、
打ちのめす。
お前は俺の希望だ!!
平等な病という名の救いだ!!
腐肉に住む気品ある死だ!!
この土地には元来、
痛みも、快楽も、嗚咽も無かった。
お前達だけがいた!!
水牛の頭蓋に止まるお前達だけがいて、
死にゆく動物達と、
生きている動物達がいて、
悪意は育つ事も許されず、
ただ、骨の影が
濃厚に大地に染み込んでいたのだ。




