中二病はバカにされる!
高槻美波はモテる。めっちゃモテる。毎週のように誰かしらから呼び出されてるのをみるレベルだ。
そして今日も呼び出されていた。呼び出した男の名は津軽彰彦。かつて「この我と共に世界を救おう、漆黒のダークネス!」などとわざわざ呼び出し、恥ずかしそうに言ってきた男だ。何かの罰ゲームだったのだろう。というわけで、引子は彼のことが嫌いであった。
「な、なあ! 高槻って葉山と仲良いんだよな?」
場所は変わり校舎裏、高槻美波と津軽彰彦が校舎裏にて話していた。
「仲はいいと思うけど……どうしたの?」
「頼む! 俺と葉山の中を取り持って欲しい! ……実はさ、俺一回葉山に告ってんだけど、そこからなんか嫌われてるというか……異常に避けられてるんだよ」
「告白した……避けられてる……ねぇ、なんて言って告白したの?」
引子がはっきり「嫌い」と公言してるのは現在一人だけである。名前まではいちいちおぼえていなかったが、おそらくは目の前にいる彼なのだろう。
わざわざ呼び出されておちょくられたから嫌いだと引子が言っていたのを聞いたので、美波はどう告白したのかを聞くことにした。
「え? いや……それは少し恥ずかしいというか……」
しかし一生懸命考えた愛の言葉を他人に聞かれるというのは少し……いや、かなり恥ずかしいのだろう。彼は顔を赤くして口をつぐむ。
「……この我と共に世界を救おう、漆黒のダークネス!」
その様子を見兼ねてか、美波は引子から聞いていたバカにされた言葉というのを彼に向かっていう。
「は!? な、なんで知ってんだ!?」
「本人から聞いてるからね……それにしても……嫌われたいの?」
こんなので成功すると本気で思っていたのなら失笑ものである。全く彼女のことを分かっていない。
「だ、ダメだったのか……?」
「ぜんっぜんだめ! なんも分かってない! でも安心していいよ、私がみっちり教えてあげる! 引子ちゃんを落とすために必要な要素……それは邪眼よ!」
「邪眼……?」
邪眼と言われてもパッとこないのだろう。
「うん、邪眼が何かは分からないけど……邪眼を持たない奴には分からないでしょうね、みたいなこと言ってた!」
どうやら美波にもよくわかってないらしい。
「おお! それならいけそうだな! ありがとな高槻!」
「ふっふっふ……もし成功したら奢ってね!」
「おう!」
(これで引子ちゃんにも彼氏が! ……?)
友人に恋人ができる、本来は喜ばしいことなのだろう。美波ももちろん喜んでいた……のだが
(なんだろう……今一瞬もやっとしたような……)
自分ですらも理由がわからないそのもやもやに困惑していた彼女の姿があった。
◆
「葉山……少しいいか?」
引子は警戒していた。何故なら以前、面と向かって馬鹿にしていた男が、何か覚悟を決めたかのような表情で私の前に立っていたからだ。
「何が用?」
「……我と同じ邪眼を持ちし者よ! 我と共に世界を救おうぞ!」
顔を真っ赤にし、彼は手を差し出してそう言った。
「……バカにしてるのか!?」
もちろんそんな無礼者には平手打ち一択である。
◆
「引子ちゃん、どうしたの? なんかすごい機嫌悪そうだけど……」
津軽彰彦をけしかけた(?)その日の帰り道、引子はとんでもなく機嫌が悪そうだった。
「……この前言った人にまたバカにされた」
「あー……そっか……」
彼に対して少し罪悪感を覚えながら、なぜかほっとした美波であった。