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7/10

中二病は……

お久しぶりです。この作品は作者の気分次第で投稿されるので次もいつかはわかりませんがよければお付き合いください。

「はい、それじゃあ葉山さん、この英文読んでみて」


英語の授業中、彼女は当てられることが多い。無駄に発音がいいからである。


「Bob said that he was a cat.But he is also a dogーー」


「はい、ありがとうございます! それじゃあ訳を……隣の高槻さん!」


そして隣の美波が当てられる。よくあるパターンだ。


「……引子ちゃん、教えたくれない……?」


そして横に助けを求める。これもいつものパターンだ。


「これはね……」


「ありがと!」


いつもこのようなパターンを繰り返しているのだが……ついに限界がきた。


「引子ちゃん! 私……助けられてばっかでなんか嫌なんだけど……なんかして欲しいことない?」


一方的に助けられている状況を、美波が嫌がったのである。


「え……? 特にないんだけど……」


そしてもちろんこんなことを急に言われても、中二ぼっちが答えられるわけがない。


「なんでもいいの! 助けられてるばっかでなんか申し訳ないと言うか……」


はっきり言ってこうやって迫られるのが一番迷惑だからそこを申し訳なく思って! なんて言えるはずもなく……


「大丈夫だからさ、気にしなくていいよ?」


こんな返事を返すことしかできなかった。コミュ障中ニぼっちに面と向かってものを言う勇気などないのである。


「それじゃあ私の気が済まないから……なんでもいいの!」


「……それじゃあ……しばらくお弁当が欲しい……です……しばらく両親が聖戦(ジハード)に行っちゃうので……」


「そのテンションでそのセリフが出るのは純粋に尊敬する。でもお弁当……それじゃ一緒に食べようよ! どうせ一人で食べるんでしょ?」


悪意のない言葉とは、時にとんでもないダメージを相手に与えることがある。


「うっ……!? うん……そうだよ……わたしはどうせ一人だよ……」


「でも大丈夫! 明日から一緒に食べようね! 私と涼夏と引子ちゃんの三人で! それよりさ、ご両親は引子ちゃんを置いて何しに行くの?」


「んーとね、よく分からないけど……二人目、楽しみにしてろよ! とか言ってたよ? ホテルでも行くのかな? いやでも二週間弱だから旅行かも……あれ? よく分からなくなってきた」


「それじゃあ聖戦というよりは性戦だね。あ、今ちょっと上手いこと言ったかも!」


引子は美波渾身のギャグに吹き出しそうになったが、なんとか抑えて平静を保つ。


「そ、それじゃあ明日よろしくね……」


「まっかせて! 何かリクエストある?」


「……高槻さんと同じのでいいよ」


普段とは様子の違う引子に、美波が違和感を覚えた。そう、いつもの厨二的発言がないのである。聖戦(ジハード)などの単語は出てきたがそれだけだ。普段なら引子は美波のことを貴様呼びする。しかし今日は何故か高槻さん呼び……どこかしおらしいのだ。その容姿も相まってまるでいいとこ育ちのお嬢様みたいに見える。


「どうしたの? いつもと口調だいぶ違くない?」


と、問いかけると引子は力無い笑顔で「なんでもないよ」とだけ言った。


「そっか……それじゃあ今日一緒に帰ろ?」


しかしここで引き下がる彼女ではない。帰り道でとことん問いただす気であった。


「今日……ごめん、今日は一緒に……いや、やっぱり一緒に帰ろ」


やはり何かがおかしい。そこで彼女は昼休みで涼香に話を聞くことにした。悩んでいる友達の悩みの聞き出し方についてである。

 ちなみに、話してくれるまで待てばいいだろ、といった涼香のおかげで引子は帰り道での質問攻めを回避できたらしい。

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