クレームドラフティング
(さて、、、、こいつをどう料理するか・・・・)
とりたい権利範囲を定義するときは、請求項、いわゆるクレームというものを作製する。
すげークレーム考えたんだぜー、なんて飲み屋の席で同僚に自慢しようものなら
居酒屋のおっちゃんに怪訝な顔をされるなんとも悲しい業界用語である。
クレームドラフティングのコツはよく転がりにくい鉛筆の例で例えられる。
断面が四角形の転がりにくい鉛筆を発明したとしよう。
権利として四角い鉛筆で保護するのが妥当か否か。
まるっこい鉛筆を比較として考えてみる。
まるっこい鉛筆であれば簡単に転がっていってしまうが、四角い鉛筆であれば多少は転がりやすさが軽減される。
ならば、まるっこい鉛筆と四角い鉛筆の違いは何か、、、、四角い鉛筆の方が断面の辺の数が少ないな・・・ということは、辺の数が少なければ鉛筆は転がりにくいのではないか?
ならば、三角形の鉛筆はどうかな?
・・・といったような考察から発明の本質を掘り下げていくのである。
対象が魔法になろうとも、その本質は変わらない。
発明の前提条件をギリギリまで切り詰めて、なるべく発明の外縁を拾うのである。
(まず、魔法が詠唱系で・・・後、火の魔種。この辺りは前提条件として必要か・・・、だいたいこんなとこだろうか)
圧倒的集中により、あっというまにクレームが書きあがっていく。
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【請求項1】
詠唱系魔法による加温方法であって、
火の魔種を身体の一部に集中させるステップと、
前記身体の一部を加温対象に接触させるステップと、
詠唱文言に温水を含み、
前記詠唱文言を唱えるステップと、を含む、液体の加温方法。
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自らのクレームの出来栄えに惚れ惚れしつつ、さらなる検討を進める。
このクレームというものは、たとえ同じ発明であったとしても、その表現者によって
書きっぷりが大きく変わってくるものである。ただ、そのクレームの出来の良さを判断するのは
容易ではない。
(んーーー、今回の発明だと、掌が直接コップの中の液体に触れてなくても加温できているから、そのあたりを考慮する必要があるか・・・、直接液体を掌に掬った場合どうなるのかの検討もしないとな。)
北条 新の闘いは、始まったばかりである。
魔法を想像してクレーム考えるの楽しい!