75/78
悪夢
得体のしれないものを見る。
それは夢であったり、不安であったり、恋だったりする。
そのすべてがおれに生きているという実感を与える。
絶望に叩き落される。
生きたまま、おれは絶望の靄で浮いている。おれが死ぬまで、消えることはないだろう。
生きてゆくことは霞だ。掴めない不安を絶えず感じ、意味もなくおびえる。
死にゆくことは虚無だ。死ぬまでには長すぎる。どれだけの恐怖を抱き、苛立とうとも、至ってしまえば何もかもがなくなる。
それでは何の意味もないではないか。そうだ。意味も価値もない。そうと知りながら、そのことについて考え続ける――虚無以上の絵空事だ。往生際が悪い。
それでも語る。語らざるを得ない。苛烈を抱き続けなければならない。
おれが生きているからだ。おれに勇気がないからだ。
今日も靄を吸い込む。絶望が全身を巡る。
酔うこともできず、おれは規則的に手足を動かし、活動する。
疲れた。
沈む、どこまでも。




