11 ䷴ ⇋ 徘徊 ⇌
翌日、ボクが女の子になってからもう3日目。朝起きても特に変化はなかった。
今日もこの世界線についての検索をする予定がある。
今日百合聖先輩は一日中忙しいようだから、昼休みの時一緒に昼ご飯を食べながら少しお喋りしただけ。先輩はいつものようにボクの話に付き合ってくれて色々情報を交換したけどまだ特に進歩がない。
そして放課後になってボクはまた一人ぼっちになった。でも今日は実はちょっと行って調べたい場所があるよ。それはボクが以前通っていた中学校だ。
やっとここまで来てみたね。
「懐かしいね」
実は母さんから聞いたけど、あの実頼という男の子はボクと同じ中学校だった。つまり今彼は今でもまだこの学校に通っている。ボクとし2つ下なのだから今は中学3年生のようだ。
ボクが高校生になってからもうすぐ2年経ったね。中学卒業してから一度もここに戻ったことはない。特に用があるわけじゃないから。
今放課後の時間だからかなり賑やかで生徒も先生もいっぱい歩いている。ここではない高校の制服を着ているボクはここでは目立っているようだね。
「君、涼原くん?」
「はい。あ、淡路先生……」
ボクの名字を呼んだのは中年男子教師。彼はボクの中学3年生の時の担任先生。
「久しぶりだね」
「はい、そうですね。久しぶりです」
やっぱり先生は今のボクを見ても何か変だと思わない。まるで最初からボクは女子中学生としてこの学校に通っていたような。
「何をしに来たのか?」
「ボクはえーと……、後輩に会いに来たんです」
一応あの子はボクの後輩でもあるはずだよね? ボクが中学3年だった頃に彼は中学1年生だったはず。といえことは、1年くらいボクはいつも彼と一緒に学校で会えていた。
実はあの子と一緒に登校したこともあるらしい。まあ、これは母さんから聞いたことだけで、ボク自身の記憶にはないけどね。
ボクは先生と別れた後もうちょっとしばらく彷徨いて学校のあっちこっちで歩き回ってみたら……。
「遙奈姉? なんでここに?」
やっと実頼くんを見つけた。
「君と話したいことがあるから。さっきからずっと探してたぞ」
「探してた? ラインで連絡してきたらいいのに」
「あ、その手があったか」
ボクはこの子の番号を登録しておいたのか? 幼馴染だから当然だよね。そういえばまだよくラインを調べてみていなかった。これは盲点だった。
「で、用は告白の件なのか?」
やっぱりそう思われるよね。一昨日別れた時にはこの話をしておいたから。
「そんなことにも関係があるけど、実はボクがもっと色々ちゃんと君に話さなければならないことがある」
「わかった。俺も今特に用事がないからすぐ家に帰るつもりだよ。なら俺の家に一緒に行かないか」
「いきなり、家に誘うなんて」
一応こっちのボクは女の子なのに、こんな簡単に家に誘うとは……。
「昔よく俺の家に来てたじゃん。最近来なくなったね。やっぱり今はもう嫌なのか」
あ、そういえば昔この子がよくうちに来ていたって、母さんから聞いた。そしてボクの方もこの子の家によく行ったみたいだね。やっぱり昔からこの子とあんなに仲がよかったよね。
別に問題ないと思う。それにこの子の家に行ったら、もしかしたらそのついでに何か手がかりを見つめるかもしれない。
「嫌なんかじゃないよ。わかった。じゃ歩きながら話そう」
「うん」
こうやって話し合いをするために、ボクは実頼くんの家に行くことになった。