01 ䷖ ⇋ 異変 ⇌
「遙奈くん。今日も楽しかったわ」
「はい、ボクもです。百合聖先輩」
今日冬休みの最後の日で、ボクは大好きな彼女とデートして一緒に楽しい時間を過ごしていた。
彼女は由良百合聖、ボクの恋人。ボクより1年上で高校3年生。整った顔と背中まで長い艷やかな黒髪はすごく魅力的で誰も見惚れるほどの美少女。身長165センチ高くていい体をしている。そんな彼女がもちろん学校ではとても人気者で、昔よく告白されたそうだが、全部断ってきて、結局彼女はボクを選んだ。
それはとても嬉しい。そもそもボクにとって先輩は高嶺の花みたいな存在だった。まさか付き合えるなんて夢みたい。
これは夢ではないよね? 本当に現実だよね?
「高校最後の冬休みもいい思い出ができたわね」
「それはよかったです」
百合聖先輩は3年生だからもうすぐ卒業する。そして彼女は東京の大学に通うことになって、もう今までみたいにいつも会えることはできなくなってしまう。
もちろん、ボクも来年高校卒業するから、東京の大学に通うつもり。違う大学になるかもしれないけど、とにかくできるだけ近くのところを選ぶつもりだ。
でもあれは先のことだ。それはさておき、まずこの4月になったらボクと先輩は1年くらいの別れになるだろう。
そう思ったらなんか寂しくなってきたよね。もちろん、これについてボクも彼女も不安に思っている。
だけどボクは先輩を信じている。先輩もボクのことを信頼しているからきっと大丈夫。例え遠く離れていてもきっと問題ないよね。ちょっと寂しいかもしれないけど。
とにかく今はまだ一緒に高校生活を送れる残りわずかな時間を精いっぱい楽しもう。明日から新学期になって毎日百合聖先輩と学校で会えるから。
「じゃ、また明日学校でね」
「はい、また明日です」
ここで別れてボクたちはそれぞれの家に帰った。そしてその後は……。
「え? もう朝か」
確かに先輩と別れた後、ボクは自分の家に帰ってきて……、いつの間にか眠ってしまったようだ。そして今はもう翌日の朝だよね。ボクは目覚めたばかりでまだ意識が朦朧とした状態だ。
「今日また学校か……」
今自分が考えていることを口に出して呟いたら、その時は何か違和感を感じ始めた。
「あー」
ボクの声、やっぱりなんかちょっと変だ。いつもより甲高いような気がする。気のせい?
まだ起きたばかりだから、ちょっと混乱してもおかしくないかもしれないね。体もなんか力がよく入ってこない。昨日疲れすぎたかな?
また二度寝をしたいっていう気分だけど、今日は新学期で学校に通わないといけないから仕方ないよね。
まずはシャワーだ。ボクは浴室の前の脱衣所に来て姿見に映っている自分の姿を見たら……。
「……は?」
やっぱりいつもとはなんか違う。声だけではなく、外見も少し……いや、よほど変わったようだ。こんな姿はどう見てもまるで……。
「女の子?」
まさか……そんなのあり得るはずない。
どうやらボクが……ボクの体が……、女の子になってしまったようだ。