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母の感染防止対策(奈々)

作者: 狼花

 「ごめんね。今週のシフトなんだけどお客さんがいま少なくてシフトを削ることになるんだけど大丈夫かな」

「あ、大丈夫ですよ。最近、お客さん少なくなりましたもんね」

「すまない」

「いえ、気にしないでください。」


 電話のお相手は私がアルバイトしている飲食店の店長さん。

この感染症の影響がついに私達の生活にも大きな影響を与え始めました。

みじかな場所でもマスクを着用する方が日に日に増えています。

テレビのニュースを見ても天気がいいのに誰もいない公園だったり

無人の観光名所んど取り上げられるのは寂しいニュースばかりです。


 飲食店や水族館では経営難という話も耳にしますがそれを助けるにはそういう施設を利用する方が増えないといけませんが、利用するためには外出しなければいけません。


 これは行政の方は大変ですよね。

コロナの対策で不要な外出は控えるように言っていますがそれはつまりお店でお金を使う人が少なくなるわけですし、逆にお店を助けるためにみんなで外に出てたくさん消費しましょうとも言えませんし。

外出を促せば感染のリスクが高まりますし、控えるようにすれば今度は経済的な問題が出てしまうというわけですね。

難しい問題です。

・・・  店長も頭を痛めているんでしょうね  ・・・


 こういう経済的な問題に対して私ができることは何もないですけどマスクを自作して寄付した中学生もいたらしいですし私もだれかのために何かしてあげることはないでしょうか高校生の私にできることなんてあまりないと思いますけど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あるわよ、今から私の部屋にきてくれる」

そんな話を母にすると母はすぐさま私を自分の部屋へ呼びました。

・・・  なんだろ?  私でもできることがあるのかな  ・・・


 母の部屋に行くと目を疑うような大量のダンボールがおかれてました。

いつから母の部屋は物置になったのでしょうか。

「このダンボール。中身はなんですか?」

「こっちのダンボールは漫画本や問題集あとノートとか」

「では、その上のはなんですか?」

「ボードゲームとかパズルみたいな一人遊びの玩具」

ダンボールの中はたくさんの本や玩具がずらりと入っています。

「なるほど、これを全て公共施設や病院に配りに行くんですね」

「違うわよ。全部、桃花に渡すのよ」

「え???あの明日って桃花の誕生日か何かの記念日でしたっけ?」

私がそういうと真剣な顔で私の両肩を力強く握りしめます。

「奈々、私は市役所の職員」

「はい、それは知っていますよ。というか肩が痛いです」

「だから私はもちろんのこと家族であるあんた達が感染したら私も自宅待機になって仕事どころじゃないでしょう」

あ、なるほど。

「ほんとはね。ホームセンターで南京錠や木材を買ってあの子を感染が収まるまで拘束したいくらいなんだけど」

「それはやりすぎです」

そんなことしたら児童相談所に通報しますからね私。

「わかってるわよ。でもねこの社会状況で感染すると自宅待機は絶対だと思うわよ。あと感染者に対しての世間の風当たりというのもあるし。

いい?あんたにできることはあんた自身が感染しないこと。そしてあの問題児を感染させないこと私のためにもあんた達のためにも」

「わ、わかりました」


  こんなに緊迫した母はあまり見たことがありません。

どうやら公務員である母にとっては大きな出費をしてでも教育方針を歪めても家族が感染することは避けたいようです…


  ・・・  というか、桃花に対しての警戒レベルが高くないですか… ・・・


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― 新着の感想 ―
[一言] お母さんの桃花ちゃんに対する評価が、ある意味すごく高いということですね。
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