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※セラフィ視点
誤字脱字は定期的に確認・修正してますが見逃しとかあったら一報くれると助かります
あれから工房内の訓練場した。
ガーベラさんの訓練。それは想像を絶するものであった。何故ならば―――
「はぁ!」
「隙だらけです」
「ぐっ!!」
クリスが側面から切りかかるものの振り向くことさえなく腹部に蹴りを入れて退ける。
対戦相手はアネモネさん。あの量産型メイドでさえ強敵だったというのにネームドである彼女は全てにおいて上だった。
「まだよ!」
クリスへの攻撃によって生じた僅かな隙を見て私が魔法でアネモネさんの周囲に炎を発生させて逃げ場を封じ、カガリが剣に魔力を込めて刃を飛ばす。更にミラが上から光魔法を降り注がせる。
大きな衝撃と爆音と共にアネモネさんがさっきまでいたところが煙で見えなくなる。これは手ごたえがあったと思いたいところだが、どうだろうか。
「損傷軽微。いい連携でございます」
アネモネさんは埃を払い、何事もなかったかのように槍を構える。メイド服を一切汚すことなく、あの攻撃を防いでいた。本当に、強い。
「ガーベラ様、どうでしょうか」
槍を構えたままガーベラさんのほう視線を向ける。これは先ほどから何度行われてるものであり、アネモネさんと私達の戦闘に対する評価である。
「アネモネは60点です。隙を突かれることを念頭に置けば対処はもっと早かったでしょう。
しかし、現段階においては上出来といってもいいです。精進は続けてください。
セラフィ様は75点。隙を突こうとしたのはいいですがあれではワンテンポ遅いです。ミラベル様も同様です。
カガリ様は連携の取り方については満点でしょう。ここまでの立ち回りをできる人間は稀有とさえいえます。
勇者は30点。連携を意識するように」
改善点はあるもののどうやら悪くはないらしい。私達3人についてはある程度連携が出来ているのは日頃の訓練の成果だろうか。
「待ってくれ!僕はちゃんと連携を意識している!彼女達に攻撃の手が回らないようなるべく前に出て―――」
「それは貴方の考え方です。まずはカガリ様を参考に立ち回りを見直してください。
彼女はミラベル様のサポートを受けられない位置には決して行かず、1人で押さえ込むのではなく攻撃しにくい状況を作っております」
………本当によく見ている。その通りで、カガリは攻撃されると私達の魔法による迎撃ができる位置を上手く取っている。
遠隔魔法などを行ってもカガリが直ぐにその兆候を知らせてくれるしそこに攻撃を仕掛けられる。
お陰でアネモネさんもカガリを先に対処する必要があり結果的に比較的軽い負担で戦えていた。
「………僕のすべきこと、立ち回り。前にでるだけじゃダメだ。ちゃんと足並みを揃えないと」
クリスはクリスで自分の動きを見直しているらしい。正直反発するか不安はあったけどこれなら大丈夫だろう。
「最低限の連携はあと3日で習得していただきます。それでは、レベルを上げますので先ほどより注意してくださいますように」
あと3日。それはつまり………大迷宮攻略の目安だろう。私は、こんなところで立ち止まるわけにはいかない。
―――絶対に、越えてみせる。




