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※ジーク視点
―――ミラベルのお陰で大変だったあの出来事から数日が経った。
メンバーについても説得でき、必要な情報も集まった。セラフィ達の実力もついてきたし最低限は戦えるだろう。
となると、とりあえずではあるが残りは魔族のみ。
「じゃあ、行くか」
「承知いたしました」
現在地は工房。目的地はアスター指示の元メイドに作らせたアルフィア王国近隣にある屋敷。
着替えもして準備が出来たので歩き出すと―――
「ストーップ!」
セラフィが立ちふさがる。他の連中に比べれば貧しいある部分的には立ち塞がる壁と言えなくもない。
「ねぇ、今失礼なこと考えた?」
なんて鋭さだ。
「ソンナコトナイヨー。
それより何か用か?これからこの世界の魔王とお茶する予定なんだけど」
「それ!それよ!何をするつもりなの!」
指差して詰め寄られる。
何をすると言われてもまだ話すつもりないし付いてこられると面倒だな。どうしたものか。
「魔族にちょっかい出されると困るから手をだすなって釘を刺すだけだ。安心しろ、ちゃんとアルフィア王国も手を出させない」
しかし納得できないらしく頬を膨らませて不満げにこちらを見る。意地でもついてくる気か。
「帰ったら何か1つ、できる範囲で願いを叶えてやるからそれじゃダメか?」
「なら今叶えて。私を連れてって」
「マジか」
さて、こうなると説得は困難か。無理やり押さえつけてもあとで手がつけられない位暴れられるのが目に見えている。………仕方ないか。
「あー、分かった。連れていく。
その代わり大人しくしていること、口を出さないこと。約束できるなら連れていく。これを拒否するなら力付くで置いてく」
「いいわ、約束する」
そういうものの声色が弱い。今さら気づくが、セラフィの俺を見る目は何処か不安が滲んでいる。………そういうことか。
「安心しろ。俺は人間の味方でもなきゃ魔族の味方でもない。
俺はお前達の味方だ。何処にも行ったりしないさ」
そういって頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めてそれを受け入れる。ご機嫌もよくなったようで魂から怒気と不安が消えているのを確認できた。
「あー!セラ、狡いわよ!」
「あっ、ちょっと!ダメだってば!落ち着いて!後で合流する手はずなのにっ」
物陰に隠れていたミラベルとカガリが騒ぎ出す。そこに居たのは知っていたが………お前らもグルだったか。
「準備は………してるようだな。じゃあさっきセラフィに言ったことと同じだ。いい子にしてるんだぞ?」
「その言い方は子供っぽくて不満なんだけど」
最初に抗議したのはカガリ。
「私はもう大人よ?相応の扱いをして欲しいわ」
次にミラベル。俺にとっては幼い少女くらいでしかないのだが本人達は不満らしい。特にミラベルはアプローチが露骨過ぎる。
………全く、周りはミラベルにどれだけ負担をかけていたんだか。
「善処しよう。ほら、いくぞ」
本当は俺とガーベラとアスターだけで行く予定だったのに3人もオマケがついてしまった。
ま、賑やかだしいいか。




