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※ミラベル視点
―――レインディア様は本気だ。
それはこの場にいた誰もが感じたと思う。レインディア様は行動力もある方、本気でジークを落としにかかるだろう。なんという、こう、凄い人なので。
「ディア………そこまで、本気なのね」
セラが戸惑いつつも確かめると笑顔が返って来る。
「はい。行動しなければ可能性は0です。僅かでもあるのなら私は全力で賭けます。王女ですが恋に燃える女の子なので、例えダメでも何もしないよりは後悔しないでしょう」
胸を張って、自信をもってそう宣言する。凄いなぁ、私だったら怖いと思うけどレインディア様はそれを跳ね除けてジークを射止めるのだと、本気で成そうと考えている。
「なのでお父様に相談していて、大迷宮攻略にお邪魔しようかと」
………本当に、凄い。凄いというか、これが恋する乙女のパワーが合わさった行動力カンスト王女なのか。
「えっと、レインディア様。それは流石に危ないと思います。大迷宮では何があるか分かりません。ずっとジークに守ってもらえるとも限らないのですよ」
恐る恐るだがレインディア様に進言するカガリちゃん。それは確かなことでありそれ故にセラ達はここで足踏みしているといえる。
「存じておりますわ。私は非力な王女。できるといえば人柄を見極めたり、多少は知識を有していたり、後はサポートスキルなどが使える程度です。セラ達のサポートをする名目でいけるかなと思ってますわ」
「「あれ、私達ダシに使われるの!?」」
………流石恋する乙女。使えるものは友人すら使う心意気のようです。
「安心なさいまし。私のサポートスキルは代々王家の血を持つ者のみが扱える秘宝ともいえるもの。お二人の戦闘力をぐぐっと引き上げてみせますわ」
サムズアップする王女様。スキルのことは少しだけ聞いているけど潜在能力を引き出すとか、能力を倍増させるとかそういうものらしい。確かにジークは必要としないかもしれないけどセラ達のためとなれば許可するかもしれない。
………もしそうなったら、あの輪にレインディア様が加わる。これだけ熱心なレインディア様をジークは無視できないと思う。そうなったら………なんて考えると胸が締め付けられる。途端にジークに会いたくなってしまって、首から下げているペンダントに触れる。
―――すると背後の空間が歪み、ジークが現れた。
「お、もうそんな時間―――おい、どういうことだ」
「「「「!?!?!?」」」」
一同慌てる。私も慌てる。すっかり忘れていた。これはジークを呼び出すためのもの。あんなこと考えて触ったらこうなるのは必然だった。
「さて、俺は悪くないぞ」
そうなのだけど、正しいのだけど………女性陣の視線はきつかった。




