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※セラフィ視点
―――朝、イーリスさんを含め食卓を囲い食事を取り、ガーベラさんが職場までイーリスさんを送り届けてくれた。修理の終わった杖は案の定最適化されており驚くと共に愛おしそうに杖を抱きしめるイーリスさんに乙女を感じた。
それはさておき私達は相変わらず訓練に励んでいる。
魔力のコントロールを学び、効率的な魔法の行使を身体に染みこませる。
一見しなくても地味な訓練でジークに抗議したことがあったけど試しに模擬戦をしたら驚くほど魔力消費量を抑えつつ火力もかなり上がっていてそれ以降文句をいうことはなくなった。
曰く素材がいいと下地を整えるだけで強くなる。これが十分になったら上に色々なものを乗せていく、らしい。
「お、順調だな」
一人集中していたところにジークが顔を出す。左右にはカガリとミラベル、ガーベラさんの姿も。
「二人には言ってあるけどさっきレインディアからお茶会の誘いがあったから行くことにした。お前もくるか?」
「行く」
訓練も大事だけど、息抜きも大事。………いや、そんなことは言い訳だ。本当は、ディアに応えたいだけ。こんな私に、ディアはそれでもとジークに勝負を挑んでまで繋ぎ止めてくれた。ならばと思ってしまうのは、決して悪いことではないはず。寄り道では、ないと、信じたい。
「よし、じゃあ行くか」
―――――――――――――――
安定と信頼の転移魔方陣に乗って今度は控え室に転移する。いつの間にか転移先を設定し直していたらしい。
メンバーは私、ジーク、カガリ、ミラ、ガーベラさん。
控えていたメイドに誘導され会場へ移動。少し広い部屋へ案内され、中に入ると―――
「ジーク様、皆様、お待ちしておりましたわ」
少しラフな格好のディアとアレイスター様、イーリスさんとミレイナ。
「ようこそ王城へ」
アドルフ王もいらっしゃった。私達3人が慌てて跪く。ナンデ!?王様ナンデ!?
「あぁ、そう畏まらなくてよい。ジーク殿とはゆっくり話したいと思っていてな。頼み込んで参加させてもらった。
だから今日は空気の読めない老いぼれが一人いると思ってくれてよいぞ。ホッホッ」
そんなことできるはずもなく顔をひきつらせる。なるほど、この突拍子の無さは父親譲りかディア。
「昨晩は乙女が夢見る王子様のようなカッコいいジーク様にイーリスが胸を打たれたと聞いております。是非ともその話を聞きたいのですわ」
「ちょっ!?レインディア様!?」
手を前に組み目をキラキラさせながらジークに詰め寄るディアと後ろで慌てるイーリスさん。ミレイナの関係で交流はあったもののあんな姿は初めて見る。
「こっちも差し入れの1つもあるさ。ガーベラ、頼む」
「承知いたしました」
何処からか取り出した袋から様々な菓子が出てくる。何ともカロリーが気になるお茶会が始まった。




