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※カガリ視点
「もう時間なのね」
ジークの用意してくれた訓練用メイドゴーレムとひたすら戦闘していたが、休憩時間になったのでその手を止めた。
辺りを見渡すと違和感。先ほどまでガーベラさんやアスターさんが居たのに、気づけばその姿がない。ガーベラさんの居た場所には代わりに眼帯を着けたメイドが立っている。見るとメイドへ指示を出しており、考える仕草などからも他のメイドとは違う気がする。
「あの、貴女は………あと、ガーベラさん達は?」
「はい。私はジーク様にお作り頂いた統括機の一人アネモネでございます。
現在外出されているメイド長ガーベラ様とメイド統括のアスター様に代わり工房の運営を担っております」
アネモネ?ということはガーベラさんと同じく聖霊なのか、でもジーク曰く他の聖霊は向こうに置いてきたらしいし。
「開示許可が出ておりますので簡単に説明しますと、私はジーク様がメイドを統括する、所謂部隊長のようなものして開発された統括機の一人でございます。自己を得て日は浅いですがお役に立てるよう最善を尽くします」
口早に説明を受けるものの完全にキャパオーバー。色々と引っかかるもののこんがらがってしまうのでとりあえず説明を止める。肝心のジークについては―――
「もうすぐお帰りになります。それでは」
とだけ言って玄関へ向かう。他のメイドも揃って、である。
別の場所で訓練をしていたミラベルとセラフィも気づいたようで、3人で玄関へ向かう。
「「「お帰りなさいませ、ジーク様」」」
「おう、ただいま」
帰宅する魔王。しかし何か多い。
「へぇ………夜遊び女遊びしてきたのね」
「ふーん?」
ジト目になる二人。その視線の先にはお姫様抱っこされたイーリスさん。
「えっ!あっ!これは違うの!降ろしてって言ったの!」
「いや、違うけど」
抱えられているイーリスさんと抱えているジークで反応はまるで違う。なんといえか、イーリスさんが嬉し恥ずかしという感じがしてくる。何をしてきたのだろうか。
「3人とも目が怖いんだが。まぁいいや、アスターは今日は非番だ。ガーベラ、後は頼む」
「承知いたしました。お部屋をご用意いたしますので5分ほどお待ちくださいませ」
………ん?お部屋?
「ちょ、ちょっと待ってください!どういうことですか!」
ジークに降ろされたイーリスさんは一瞬名残惜しそうな顔をした気がしたものの、先ほどの発言を振り返って詰め寄る。
「そのまんまだ。あんなことがあった後じゃ不安もあるだろう。今日くらい泊まってゆっくりしていけ」
「あ―――」
イーリスさんがハッとした辺りで私達が察する。お姫様抱っこされているほうに意識がいっていたから今まで気づかなかったがイーリスさんの服が汚れ、ところどころ切れている。持っている杖にもヒビが入っており―――つまり襲撃があったということ。
「俺はやることがあるから自室に戻る。分からないことがあったらガーベラかそこら辺にいるメイド………そういやアネモネもいたな。とりあえずメイドに話しかければ大体答えてくれるだろう。
コイツは序でに修理しとく」
そういうなりイーリスさんの杖を取り上げてさっさと自室へ戻っていった。
「むー………そんな事情だったら怒れないじゃない」
「………女たらし」
その背中に刺さる視線の各々の感じているものは違うが、一つだけ共通しているものがあるとすれば―――
「全く、アイツらしいわね」
呆れたようにセラフィが呟く。
それは私達が共通して感じていることで、だからこそ信頼を寄せている。
「でも何があったのか詳しく聞かせてくださいね、イーリス様」
「えっ」
ただ、追求はあるらしい。




