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※セラフィ視点
―――あの一件から数日が経った。
黒騎士団は事実上の解体。白魔術師団と併合されリイズ魔法騎士団となった。
団長は勿論イーリスさん。ミレイナと一緒に目の回るような忙しさらしい。
タイラーと第一王子派は悉く失脚。他にも汚職している貴族はいるがそれも整い次第徐々に排除されていくらしい。ディアがそれを楽しそうに語っていた。
この一件で命を落としたのはバルハード様だけだったのはジーク曰く予定外だったらしい。
聞いた話だとあの時あの場にいた第一王子派の7割は殺す予定で、イーリスさんの背後には魔王がいう心理的な圧迫を与えるというシナリオだったらしい。
イーリスさんはディアに感謝してもしきれないだろう。実行されてたら確かに鮮血の聖女になってたことだ。
私達は王国とは関係ないのでひたすら訓練に費やした。訓練は厳しいが美味しい料理と気持ちいいお風呂、魔性のベッドのお陰でモチベーションも維持できた。狡いと思う。
「勇者は国で保管されていてかつ正式に認められた聖剣、それを扱える者を指します。なのでこの国では聖剣繚乱たる虹の剣を持つクリス様が勇者なのです」
円卓に広げられたイラスト付きの資料をジークに見せて聖剣と勇者について紹介するディア。ジークは興味深そうに話を聞いている。
現在はジークの要望で勇者や聖剣、国家の情報などについてディアから説明を受けている。
「ほうほう。他にも聖剣はあるのか?」
「アルフィア王国には一振りのみですわ。他国ですと、例えば北にあるオルトランド皇国に聖剣がございます。
凛然たる不滅の聖剣と呼ばれる聖剣と、それを扱う勇者が確認されておりますわ」
「ふむふむ、アロンダイト、ねぇ」
「何かございまして?」
「いや、何となくね」
意味ありげな反応を見せるジーク。ディアは首をかしげるものの聞いても答えてはくれないと雰囲気で理解したらしく話を戻す。
「………すっかり仲良しね」
二人の間に割って入ったのはミラ(不機嫌)。
確かに二人の距離………というよりディアの距離が近い。
「レインディアは物知りだから助かるな」
「他にもあったら聞いてくださいまし!分からなければ調べますわ!」
何でもござれと胸を張るとプルンと揺れる。おのれ。
「レインディア様?一国の王女が魔王とはいえ一人の男性にそうも距離を詰められるのははしたないと思いますが?」
心なしかミラの目が怖い。ヤミヤミしてる。
「友達なので!ふつーですわ!」
「友達でもその距離はふつーじゃないのですわ!」
二人が楽しそう(比喩)に話しているとさっと抜け出してきたジークが私の隣に座る。
「いやー、勉強になるな」
「アレ、放っておいていいの?」
なんだがムカムカするのでそっけなく返すがジークは微笑むだけ。気のせいでなければ、見守るような優しい視線で二人を見ている。
「ディアはなかなかの策士だな。こうすればミラベルとも距離を詰められると分かってやってる」
「本当にそれだけなら、ね?」
「まぁな」
この男、気づいてやがりました。女の敵じゃないだろうか。悪い人だ。いや、魔王か。
「さて、色々気になる点も出てきたしそろそろ別の動きもしたいな」
「というと?」
「他国について知りたいのと、迷宮だな。魔族との休戦が結べたらそろそろ攻略にいきたい」
それを言われてドキッとする。そう、私の、私達の本来の目的はそれだ。ここまできて漸く見えてきたのだ。
「片付いて合格ラインになったら行くから、そのつもりで励めよ」
「………うん」
ジークの太鼓判さえあれば怖くない。そう思えるほどに、安心できるくらいに、私はジークを信頼している。
―――それが、なんとも心地よい。




