4-2
※セラフィ視点
「ではジーク様。今後についてのお考えを聞かせて頂けませんか?」
漸く離れたディアが元の位置に戻り、再びジークと向き合う。何だかんだ言って有耶無耶にされてたジークの企んでいることを、私も知りたい。
「そんな大層なもんじゃない。配下をこの城に潜り込ませて大体の事情は理解したからあとは第一王子を処刑させつつ国の為に戦うイーリスに心を打たれた俺が協力しているってことにするだけだ。
副次効果として幾つかの貴族が粛清されてイーリスは鮮血の聖女の異名をゲットできる」
「えぇ!?」
国をひっくり返した挙げ句その責任をイーリスさんに押し付けるといっているのと同じ。鬼畜の所業である。
「………いつの間にジーク殿の部下を潜り込ませたのですか?」
眉間を押さえてアレイスター様が問いかける。配下ってメイドのことだろうか。
「アスター」
「はっ」
「「はっ!?」」
ジークがアスターさんの名前を呼ぶとその影から飛び出してきた。
「私はジーク様の配下にして執事をしておりますアスターという者です。どうぞお見知りおきを」
その長い年月をかけて染み付いた柔らかい笑みとその洗練された動作は見るものの心を落ち着かせる。なんという紳士。
「アスターは影の仕事を得手にしていてな。お陰で第一王子が黒騎士団の団長と組み、第一王子派の貴族と従えて王を暗殺する計画までしていることまで知れた」
「………なるほど。そこまで把握されてましたか」
それは最早クーデターと同じではないか。そこまでこの国は腐敗していたのか。………お爺様がいらっしゃればこんなことはなかったのに。
「つまり、我々の人となりについて確認する意味があったということですね?」
「正解。俺の目はちょっと特殊だから一見すれば大体分かるけど、やっぱ直に話してみるもんだな。
レインディアみたいな面白い娘は一見しただけじゃ見抜けない」
レインディアをみてはにかむ。なるほどなるほど、レインディアがお好みですかそーですか。
「………それは何よりです。それで、力を貸して頂けるのですね?」
「友人には、な。あと鮮血の聖女様も」
「それ止めて頂けませんか!?」
あのイーリスさんも流石に酷い称号に狼狽した。確かにそれは死んでも避けたい。
「詳しい話はいらんだろ。だって―――」
ジークがドアのほうをみた直後ドアは勢いよく開放され、黒騎士団が雪崩れ込む。
「ほら、お客さんだ」
そこには豪華な装飾のついた服を着た美丈夫と左胸に白い星の刻まれた黒い鎧を着た大男の姿がある。前者は第一王子であるバルハード様、後者は黒騎士団の団長、タイラーだ。
「ふっ、貴様が魔王を名乗り魔族を撃退した男か」
ジークが悪い笑みを浮かべる。とても楽しそう。わーい、私も楽しい!どうにでもな~れ!




