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※レインディア視点
「その言い方、こう、保護者っぽいわね。不満だわ」
まるで拗ねた子供のように抗議するセラフィ。しかし、端からみても嬉しそうで、顔も少し赤くなっている。
なるほど、魔王と名乗られるジーク様が素敵な殿方というのは本当なのですね。
「俺からしたらお子ちゃまだからな。手のかかる妹くらいで見てる」
「えっ!?ちょっ!?それ酷くない!?私はもう16なんだけど!成人してるから!」
「俺の祖国ではまだ未成年だな」
ここが何処であるかも忘れてヒートアップしている。こんなに取り繕うことなく素直なセラフィを見たのはいつぶりだろうか。
10年前、セラフィがエルガドル様に連れられて初めてここに来た時のことを思い出す。
あの頃から彼女は貴族としての自覚を持ち、知識を蓄え礼節を重んじ………距離があった。
それから数年で打ち解けることができて、初めて得た友人との日々を楽しんで―――あぁ、あれさえなければ、私はセラフィと友人でいられたのに。
「えっと………ごめんね。話を進めていいかな?」
「あっ!えっと、失礼しました!」
すぐに頭を下げるセラフィと隣で楽しそうに笑うジーク様。なんとも睦まじい。
「ジーク殿の考えは承知しました。であるならこちらから敢えてお話するつもりはありません。
………それで、二人にそれぞれ提案がありま―――」
「却下。帰るぞセラフィ。」
「えっ」
お兄様が最後まで言い切る前に拒否し、部屋を出ようとする。流石にこの反応は予想外で、お兄様も呆気をとられるがミレイナさんがすぐにジーク様の前に立ち足を止めてくれる。
「俺に協力して欲しい。まぁ分かりきってるな。
そして―――」
その時部屋が殺気で満ちる。その視線の先はお兄様。この圧力に立っているのが苦痛になる。
視線を向けられているお兄様はその比ではないらしく、顔色は悪くなり冷や汗をかいている。
「セラフィにちょっかいを出そうってのは関心しないなぁ」
―――既に見破っている、ということを暗に告げられる。お兄様はジーク様への協力を、セラフィを通して得ようとしていた。そのためにセラフィの求めるものを得る手段を提案しようとしていた。
「ではジーク様」
―――しかし私もこのまま徒労に終えるつもりはない。命を賭す覚悟を持って前に出る。
「何だ?」
「私とゲームをしませんか?」
「………ほう?」
ここにジーク様がいらっしゃったこと自体を一つの可能性として、私は賭けにでた。




