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※ジーク視点
年下と年上、ぼくは上かな
―――それから暫く他愛のない話をしていると街が見えてきた。
石造りの壁に囲まれ、周囲は掘り下げられており街へ入るには四方の橋を渡るしかない。その橋には関所のように人が待機しており身分を証明するものがないと追い返されたりする、というところだろう。
「先に言っておきますけど、ジークは私が保護した扱いにしますから。身分証だってないのですからそうでもしないと通してもらえません。おとなしくしてくださいね!」
「分かった。分かったから先に進もう。君らの為にも」
そして俺の為にも。
セラフィが余計なことは絶対言わないでくれと耳にタコができそうなくらい注意してくるのでうんざりしているところだ。
「はい、次の方どうぞ」
関所に特に人は居なかったため着いてすぐに受付ができた。身分を証明できるものとしてセラフィとカガリはギルドカードを提出。すぐに確認がとれて次は俺だが―――
「この人はこの近隣で魔物に襲われていたので私達が保護しました。着の身着のまま逃げたそうなので身分を証明できるものが無くて………」
あぁ、可哀想な方です。と言いたげな感じで説明するセラフィはどう見ても心優しい女の子にしか見えない。なんという演技力。
「本当か?どこから来た?」
「本当だ。山脈の向こうにある街で暮らしているのだがここ最近魔物の動きが活発になっていたからその調査をしていたところを襲われてしまってね。命からがら逃げていたところを彼女達に助けられた」
「む………なるほどな」
ここについてはアドリブだが地図を見せて貰っていておおよその地理は把握できていたし最近は魔物の活動が活発化している話も聞いていたのでこれくらいの設定なら違和感はないだろうという確信はあったが案の定警備兵は納得してくれた。セラフィ補正もあっただろうけど。
「なので、通していただくことはできないでしょうか?彼のことは私が責任を持ちます」
「………そういうことなら仕方ない。通っていいぞ」
本当にあっさり入ることができた。
これでいいのかって思ったけどこの世界では連絡手段少ないだろうからこんなものか。
「ではまずは―――」
「セラフィ!?無事だったのですね!」
セラフィが今後についての話をしようとしたところで腰まで伸ばした藍色の髪の女性に遮られた。
外見はおよそ20歳くらいだろうか。着ている服からそこそこ身分の高い女性なのだろうが、セラフィとは知り合いだったらしい。
「ミレイナさん………」
どうやら面倒な雰囲気が漂ってきた。