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※セラフィ視点
………なんということでしょう。
ありのまま起こったことを話します。
お風呂あがりにカガリと雑談して、何となく訓練場に足を運んでみたら幼馴染みがジークとイチャイチャしていたのだ。
遠くから眺めていたので会話の内容までは分からないがジークの前でミラがくるっと回って浴衣姿を見せつけたと思いきやジークの腕に抱きついてイチャイチャし始めたではないか。
しかも、しかもです。ジークはミラの頭を優しく撫でる。するとミラがすっごく可愛い乙女な顔をしているではないですか。可愛い!!
カガリはソワソワと落ち着きがなく抱きついた辺りで声をあげそうになってあわてて口を塞いだり頭を撫でている姿をみてそれをじーっと眺めてみたり。こっちも可愛いかよ。
「楽しそうでございますね」
そして背後からガーベラさんに声を掛けられて二人揃ってビクッとする。
「えっと………」
「別に注意するつもりはありません。見られたくないと思っていればジーク様も何かしら対策しておりますので」
それは逆に言えば見せつけているということなのだろうか。ガーベラさんもその光景をみるが表情はいつものクールなまま。
「ジーク様は魅力的な男性故、仕方ないことです」
あ、ドヤっていう副音声が聞こえた気がした。嫉妬とか羨望はなく寧ろどうだ私のご主人様は凄いだろって方向か。完全に理解できた。
「………もしかして、気づかれてたりする?」
「当然でしょう。この工房内にいる存在をジーク様が把握できていないはずがありません」
カガリの質問にガーベラさんが何を当たり前のことを、と言いたげに返す。
「………カガリ、突っ込むわよ」
「………え?」
バレてるなら隠れてる理由もない。戸惑うカガリの腕をひっぱり現場へ急行する。
「ジーク!」
「えっ!?セラちゃん!?」
「おいっす」
名を呼ぶと驚いたミラが慌ててジークから離れ、本人はいつも通りの様子。
「違うから!そうじゃないから!勘違いだから!誤解だから!」
「ミラはちょっと黙ってて!あと浮気現場を見られた時の言い訳みたいになってるからね!」
混乱しているミラは放っておいてジークに掴みかかるが笑顔を崩さない。
「浴衣姿のミラベルにどんな男もイチコロだと言ったから、それでからかったんだろう。大したことじゃあない」
「ならなんでそのまま頭を、こう、撫でたりとか!おかしいでしょ」
「祖国ではこれは一種のコミュニケーションだ」
「え、そうなの?」
「もちろん嘘だ」
「むっかぁ!」
この期に及んでおちょくってくるジークに掴みかかろうとするがカガリに止められて断念。とりあえず落ち着いて、状況ついて説明を聞いて一段落させた。
「やれやれ、セラフィは可愛いなぁ」
そう言ってきたジークの表情は優しげで、それでいてまるで近所の子供がはしゃいでいるのをみて微笑ましいというような感じで、しかし可愛いと言われて喜んでいる自分もいて。何とも複雑な気分だった。




