3-11
※ミラベル視点
死ぬかと思った。
訓練の後の感想はそれに尽きる。
ウサ耳メイドの戦闘力は凄まじく、私の展開した障壁が拳でヒビを入れられた時は何かの冗談かと思ったほど。
「まさか………これほど………なんて………あり得ないな、ハハハ。身体が痛くてたまらないよ」
隣で突っ伏しているクリスに同意。彼は前衛としてあのウサ耳メイドに真っ向から挑んでいたのでその負担はお察し。
それでも痛い程度で済むのは向こうも加減してくれていたということだろう。そもそも丸腰の時点で手加減されている。
「お疲れさん。よく頑張ったじゃないか」
「皆様お疲れ様ウサ!」
ジークはともかくあれだけの戦闘の後に顔色1つ変えずお疲れ様ウサ!なんて言われたら煽られてるように思えなくもないけどゴーレムにそんなことを言っても無駄なので諦める。とにかく………休みたい。
「特にミラベルはその杖を上手く使いこなしてる上に味方へのフォローもバッチリ。今回に関しては100点だな」
そういって隣にきて座るジーク。あれだけの戦闘の後なので汗臭くないだろうか、流石に気になるので少し距離を置く。
「勇者くんは20点。武闘家くんは40点、魔法使いちゃんは落第ね」
「「「えぇ!?」」」
私以外が半分すら越えてないことにクリス達が声をあげる。ブーイングもするが隣のウサ耳が反応したのですぐに大人しくなった。
「勇者くんはミラベルが身体強化や障壁を要所で掛けていることに気づいていないしワンマンが過ぎる。何のためのチームだ」
それは私も昔から感じていて、クリスもそれを指摘されて黙る。視線はダヤンへ。
「武闘家くんは戦闘力で落第だがミラベルのフォローを上手く生かしてるし、実戦なら死んでる可能性あったけどそれでもクリスを守る為に前に出てる。
君は戦況の見極めが良くできてるから実力さえつけば100点あげられるだろう」
それを聞いて先ほどまでバテていたダヤンの目に炎が点る。魔王とはいえ最強の存在に素質ありと言われては嬉しいだろう。私も誉められて嬉しかったので良くわかる。
視線はレニーへ。
「魔法使いちゃんは論外だ。何回フレンドリーファイアした。慌てるな、最適化しろ」
「そんな………あんなに早くて強い相手に―――」
「だからこそだ。冷静さを失うな、迷うな、手を止めるな―――意思を持て。
生き残れ、何があっても、どんなことがあっても。誰か1人でも悲しむ奴がいるならば足掻け。その為に、行動しろ」
それはまるで俺がそうだったと言いたげな、そんな熱が籠っている気がした。
「それは………」
「ま、最初は難しいかもしれん。そこはメンタルの問題もある。だが実戦ではそんなものは言い訳にしかならない。
だから難しく考えずまずは生き残ることから始めろ。次以降の模擬戦でもお前は狙われることがある。その時絶対に生き残る為の行動をしろ」
それだけ告げると視線を再び私へ。レニーは………表情が先ほどと変わって強い意思を感じるものになっていた。ジークの言葉を反芻し、杖を強く握る姿をみるに次は点数は貰えると思う。
「とりあえず風呂行くか?用意はさせてあるぞ」
「「「行きます!!!」」」
うちのチームだけでなくセラとカガリちゃんまで元気良く返事をする。疲れた後のお風呂は最強である。




