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※ジーク視点
女の子が主人か………いいよね
俺を召喚した魔法陣を書いた位置は街から少し離れたところにある。見て気づいたが確かに彼処は魔力を集めやすいスポットだった。
で、現在は二人と共に最寄りの街へ向かっているところである。
「君達の素性についても知りたいけどこの世界について何一つ知らないから街についたら案内して欲しいところだな」
「………異世界に呼び出された割に余裕そうですね。魔王だからですか」
カガリ(勝手に呼び捨てにした)はどうやら俺の物分かりの良さにまだ警戒しているらしくセラフィと俺の間に入りつついつでも剣を抜けるようにしている。なんとも可愛いことだ。
「いや、これが初めてだよ。自力で戻る方法も無いし。だけどまぁなるようになるさ。前の世界と同じように魔法の概念もあるみたいだし、差ほど変わらないさ」
「なんとも能天気な魔王ですね………。一見すると普通の人間にしか見えないのですけど………」
言いたいことは分からないでもない。俺の外見はいたって普通のお兄さんなのだから。角があるわけでもなければ翼も生えてない。ちょっとした痣のようなものがあるだけで、魔力も抑えているので通りすがりのお兄さんですよ!といえばまず魔族などと間違われるようなことはないだろう。
「まぁ魔力垂れ流しで歩いていてもいいけどそれだとこの辺りが大変なことになるし、君たちも疲れるだろう?少し休んだとはいえ俺を召喚するのにだいぶ魔力も使ってる。これ以上負担にはさせないさ」
「………本当に、良く分からない人ですね」
召喚魔法は最初に呼び出すのに使役するために必要な魔力の3倍以上は必要となり、その後再度呼び出している間はそのモンスターに応じて魔力を消費する。
俺の場合は隷属されなかったので今は彼女達は魔力を消耗していないが、最初に呼び出す時に魔力をほとんど使っていた。なので軽く休んでからこうして移動しているわけだが召喚魔法の舵取りをしていたセラフィの消耗は著しく数日はまともに戦えないだろう。
「よく言われる。あとジークって呼んでくれ。お兄さんでもいいけど」
「「いえ、お兄さんはちょっと」」
「えぇ………」
二人揃って即答はちょっと凹む。