3-7
※ミラベル視点
「さて、終わったな。戻るか」
遠見の魔法で一部始終を水晶を通して見ていた私達は揃って絶句した。
魔王化とでもいうべきか、あの状態のジークは1人で世界に匹敵しうる災厄。
………だというのに、彼に対して悪感情が一切湧かないのは何故だろうか。
寧ろ、ジークを見つめて恍惚としているガーベラさんが羨ましいとさえ感じてしまう。
「あれが………あの男の真の力だというのか」
勝てないと、クリスは呟く。そもそもこの世界においてジークとマトモにやりあえる者はどれほどいるだろうか。探すのは難しそうな問題である。
「もう………やり過ぎじゃない」
「アハハ………これ絶対後で面倒くさいパターンよね」
この中で私と同じような感情を抱いていたのはセラとカガリちゃんだった。そこには飽きれ混じりではあるものの自然とジークを受け入れているのがよくわかる。
なんて言ってるうちにガーベラさんを抱えたまま、ジークが戻ってきた。
「ただいまー」
「「お帰りなさい!やり過ぎよ!!」」
「熱烈歓迎じゃん。やったぜ」
「怒ってるのよ!?」
とてもほのぼのとしたやり取りをしている。ガーベラさんを降ろすとセラとカガリちゃんに向き合いあーでもないこーでもないと楽しそうに話し始める。
「ほら、折角だし魔王っぽいとこ見せたいじゃん?」
「魔王と言うより天災か何かでしょあれは。絶対追及されるわよ。しかも魔族を逃がしちゃうしぃ!何よ停戦協定って!」
「えー。こうしないと魔王を自称する香ばしいお兄さんなんだもの。
あと魔族についてはそもそも潰す気がないからノーカン」
言われてみれば確かに、ホラ吹きとかそんな感じにみられるだろう。只でさえ魔力とかを隠しているのだから。
「………ねぇ、ジーク」
「はいはい」
「何か、隠してない?」
「キョウハイイテンキダナー」
カガリちゃんが目のハイライトが消えて、しかし笑顔でジークに迫ると顔を反らしてわざとらしいことを呟き誤魔化そうとする。しかし当然―――
「吐きなさい!ネタはあがってるのよ!!」
「ちょっ!?ストップストップ!弁護士を呼べ!俺は無実だ」
詰め寄るセラ、後退するジーク。救いを求める視線はガーベラさんへ向けられ―――
「アスターより連絡。標的を確保したようです」
「おいぃ!?」
止めを刺される。それで、いいの?ご主人様を崖から突き落としたようなものよ?
「ギルティ!全て吐きなさい!」
「このっ!このっ!」
「痛い痛い。脛を蹴るんじゃない」
胸倉をつかんで自白させようと揺さぶるセラ。ひたすら脛を蹴るカガリ。さっきの光景の後のこれは………余りにも強烈である。
しかしうずうずする。これはもう仕方ない。私とて人である。決心したならばやることは1つ―――
「ジークは悪いことはしてないわ。信じてあげましょ?」
「ミラベル………お前―――」
「なのでそれを証明するために話して?」
「油断ならねぇなお前」
私もジークと戯れたい。




